楼 鶯 ベリーベスト法律事務所中国弁護士
日本の仮想通貨に関する法制度ガイド その7

「資金決済法による仮想通貨交換業に関する罰則についての概要」

改正資金決済法により、資金決済法の既存の罰則規定が、仮想通貨交換業者に対しても適用されることとなります。無登録で仮想通貨交換業を行った者、名義貸しをした者、不正の手段で登録を行った者は、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはその両方が科されます。また、利用者の金銭仮想通貨の分別管理義務違反には2年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはその両方が科されます。さらに、その他の行為規制違反、監督規定違反についても、その内容に応じて懲役もしくは罰金、またはその両方が科されます。

「犯罪収益移転防止法によるマネーロンダリング規制についての内容」

2016年5月25日に成立した「情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための銀行法等の一部を改正する法律」において、犯罪収益移転防止法についても改正がなされました。この改正犯罪収益移転防止法も公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとされました。

この改正犯罪収益移転防止法においては、仮想通貨交換業者を犯罪収益移転防止法上の義務を負う特定事業者に追加し、同法に規定される義務等を課すこととされました。したがって、仮想通貨交換業者はお客様に対して本人確認を行う必要があります。顧客との間で、特定業務のうち政令で指定された特定取引を行うに際しては、以下の事項の確認を行わなければなりません。

①本人特定事項(自然人にあっては氏名、住所および生年月日。法人にあっては名称および本店又は主たる事務所の所在地)

②取引の目的

③職業(自然人の場合)事業内容(法人の場合)

④顧客等の法人である場合で、実質的支配者がいる場合には、その者の本人特定事項

⑤一定の場合には、顧客の資産および収入の状況

⑥200万円を超える仮想通貨の交換等

⑦管理する仮想通貨を顧客の依頼に基づいて移転させる行為であって、その額が10万円を超える取引

改正犯罪収益移転防止法の施行後、仮想通貨交換業者は、犯罪収益移転防止法上、本人確認義務以外に、以下の4つの義務を負います。

①確認記録の作成保存義務

取引時確認を行った場合には、直ちに確認記録を作成し、特定取引等に係る契約が終了した日等から7年間保存しなければならない。

②取引記録の作成保存義務

特定業務に係る取引を行った場合には、直ちに取引記録を作成し、取引の行われた日から7年間保存しなければならない。

③疑わしい取引の当局への届出義務

特定業務において収受した財産が犯罪による収益である疑いがあり、または顧客が特定義務に関してマネーロンダリングを行っている疑いがあると認められる場合においては、すみやかに届けなければならない。

④取引時確認等を的確に行うための措置

取引時確認をした事項に係る情報を最新の内容に保つための措置を講ずるほか、使用人に対する教育訓練その他の必要な体制の整備に努めなければならない。

次回へ続く