楼 鶯 ベリーベスト法律事務所中国弁護士
日本の仮想通貨に関する法制度ガイド その6

 

仮想通貨交換業の登録申請に関する具体的な申請要件

日本仮想通貨交換業登録申請においては、取扱い仮想通貨の名称、仮想通貨交換業の内容及び方法その他の事項を記載した登録申請書を金融庁に提出し、その際、登録拒否事由のないことを誓約する書類、財務に関する書類、仮想通貨交換業を適正かつ確実に遂行する体制の整備に関する事項を記載した書類等を添付する必要がある。改正資金決済法63条の3第1項、仮想通貨交換業者府令5条によると、登録申請書において、記載すべき事項は以下のとおりである。①商号及び住所、②資本金の額、③仮想通貨交換業に係る営業所の名称及び所在地、④取締役及び監査役の氏名、⑤会計参与設置会社にあっては、会計参与の氏名又は名称、⑥外国仮想通貨交換業者にあっては、国内における代表者の氏名、⑦取扱う仮想通貨の名称、⑧仮想通貨交換業の内容及び方法、⑨仮想通貨交換業の一部を第三者に委託する場合にあっては、当該委託に係る業務の内容ならびにその委託先の氏名または商号もしくは名称及び住所、⑩他に事業を行っているときは、その事業の種類、取り扱う仮想通貨の概要、金銭又は仮想通貨の分別管理の方法、利用者からの苦情または相談に応じる営業所の所在地及び連絡先、加入する認定資金決済事業者協会の名称。

さらに、改正資金決済法63条の5には登録拒否事由が列挙されており、例えば、以下の場合には登録が拒否される可能性が高い。

①登録申請書またはその添付書類について虚偽の記載がある場合。②登録申請書またはその添付書類について重要な事項の記載が欠けている場合③株式会社または外国仮想通貨交換業者でないものである場合。④仮想通貨交換業を適正かつ確実に遂行する体制の整備が行われていない法人である場合。⑤仮想通貨交換業者府令で定められた最低資本金要件(1000万円以上)及び純資産要件を満たすことが必要である。⑥他の仮想通貨交換業者が現に用いている商号名称と同一の商号名称または他の仮想通貨交換業者と誤認される商号名称を用いている場合。⑦資金決済法、出資法またはこれらに相当する外国の法令に違反し罰金刑に処せられ、刑の執行後5年を経過していない法人である場合。⑧取締役、監査役、会計参与のいずれかに、禁固以上の刑に処せられ刑の執行の終わった日から5年を経過していない者がいるなどの欠格事由がある場合

他方、適式な登録申請があり、登録拒否事由に該当しない場合には、内閣総理大臣は、当該申請者を仮想通貨交換事業者として登録する必要があると思う。

仮想通貨交換業者に対する監督の概要

改正資金決済法では、仮想通貨交換業者に対して帳簿書類及び報告書の作成、公認会計士又は監査法人の監査報告書等を添付した当該報告書の提出等を義務付けるとともに、監督官庁に対し立入検査や業務改善命令等を行う権限を与えている。

①帳簿書類の作成、保存義務。

②事業報告書の作成、提出義務。この報告書には、公認会計士または監査法人の監査報告書等の添付が必要である。

③利用者の金銭及び仮想通貨の管理に関する報告書の作成提出義務。この報告書は、四半期ごとに作成し管理する利用者の金銭の額及び仮想通貨の数量を証する書類等を添付することが必要である。

④内閣総理大臣は、仮想通貨交換業者に対し、業務の運営又は財産の状況の改善に必要な措置その他監督上必要な措置を取るべきことを命ずることができる。

次回には、仮想通貨交換業に関する罰則について紹介したい。

次回へ続く