楼 鶯 ベリーベスト法律事務所中国弁護士
日本の仮想通貨に関する法制度ガイド その5

「仮想通貨交換業」と「仮想通貨交換所」

日本において、改正資金決済法(平成二十一年法律第五十九号)の第2条7項によると、業として行う仮想通貨の売買、交換、及び上記行為の媒介、取次又は代理等を「仮想通貨交換業」と定義し、同法第63条の2によると、仮想通貨交換業を行うためには内閣総理大臣の登録を受けなければならないと規定されている。なお、同法第2条8項の規定によると、この登録を受けた者を「仮想通貨交換業者」という。

仮想通貨の売買、交換サービスは、主に仮想通貨の販売所、取引所又は交換所によって提供されており、法律上には、販売所、取引所、交換所の統一的な定義は存在しない。通常的には、自ら利用者の相手方となって仮想通貨の売買又は交換を行っている事業者を仮想通貨の「販売所」、利用者間の仮想通貨の売買又は交換マッチングしている事業者を仮想通貨の「取引所」といい、仮想通貨の販売所と取引所を総称して仮想通貨の「交換所」という。

他方、仮想通貨の交換所によっては、仮想通貨そのものの売買、交換とは別に、仮想通貨のデリバティブ取引のマッチングサービスも提供している。仮想通貨のデリバティブ取引としては、先物、オプション、スワップ等様々な種類があり、現在の代表的な仮想通貨のデリバティブ取引は、ビットコインの先物取引である。

現時点で、日本国内にはビットフライヤー、ザイフ、コインチェック、GMOコイン等の仮想通貨交換所が存在しており、海外の仮想通貨取引を利用している人も数が多い。バイナンス、ビットトレックス、ヨービット等の交換所も常に利用されている。

「仮想通貨交換業」の登録

前文でも言及したが、仮想通貨交換業を営むためには、内閣総理大臣の登録が必要である。なお、以前、改正資金決済法の施行後も、経過措置として、施行日時点ですでに仮想通貨交換業を行っている事業者は、施行日から起算して6か月以内に登録の申請を行えばよいとされたが、最近コインチェック問題などが起こり、金融庁の規制がどんどん厳しくなっており、現時点にはみなし仮想通貨交換業者を認めるのが極めて難しい。金融庁が発表したみなし業者リストにおいて、現在みなし業者は3社しか存在しない。また、改正資金決済法63条の22によると、外国における登録、許可業者であっても、日本国内にある者に対して、仮想通貨の売買、交換等の勧誘を行うためには、日本において仮想通貨交換業の登録が必要である。外国の仮想通貨交換所が日本において仮想通貨交換業登録を行わない場合には、そのホームページ等に日本国内にある者が当該交換所において取引できない旨の文言を明記する措置を講じる必要があると思う。

次回は、仮想通貨交換業の登録申請に関する具体的な申請方法及び審査現状について紹介したい。

[次回へ続く]