〈連載〉孔子の一生「論語(為政編)」と私(第5回)
~六十にして耳順(シタ)がう~
藤原洋 株式会社ブロードバンドタワー 代表取締役会長兼社長CEO

孔子の一生「論語(為政編)」の中で書かれた六十歳というのは、「六十になって人の言葉がすなおに聞けるようになる」年のようですが、日本では、還暦といい、干支(えと)が一巡し、起点の干支に戻る年としてお祝いします。特に、日本の還暦祝いでは、本人に赤色のちゃんちゃんこを着せる慣習がありますが、私の場合は、若々しく(?)、赤のブレザーを着せてもらいました。元来は魔除けの意味でしたが、生まれた時の赤ちゃんに帰るという意味だそうです。

さて、このたび、2014年9月26日に私の60歳の誕生日に、私の会社の後輩の人々の有志が幹事となって、“藤原洋「還暦少年」を祝う会”、が開催され、300人を超える方々にお集まり頂きました。

沖縄民族舞踊団の皆様によるご厚意でオープニング、北城恪太郎元日本IBM社長、大和田廣樹ブロードバンドタワー取締役・ファウンダー(IRI共同創業者)、藤原洋、西和彦元アスキー社長/元Micirosoft VP/、村井純慶應義塾大学教授・環境情報学部長には、鏡割りの儀式をご一緒に行って頂きました。

安西祐一郎学術振興会理事長・前慶應義塾長、三木谷浩史楽天会長兼社長、橋本岳自由民主党衆議院議員、野田聖子自由民主党衆議院議員・前総務会長、安田浩東京電機大学未来メディア学部長・東大名誉教授・元NTT研究所長、元プロサッカー選手の岡野雅行さん、荻野司ユビテック顧問・前社長による来賓挨拶をして頂きました。

鏡割りと来賓挨拶をして頂いた方々をはじめ当日お集まり頂いた300人を超える方々、また、花束をお贈り頂いた方々から、これまで、実に多くのことを学ばせて頂きました。「六十にして人の話が素直に聞ける」ようになるには、まだまだ不十分で、生涯にわたり学問を続けることと、これまで出逢った多くの方々と活動を共にしてきた経験を活かすことなのだと感じました。

明くる日の9月27日、花束を贈って頂いた北尾吉孝氏(SBIホールディングス社長)が先日のSBI経営大学院大学入学式(私は副学長・教授)で学長挨拶として、3つの「識」、すなわち、「知識」(本を読んだり先生から聞いたりして得られる力)、「見識」(自分自身の経験によって得られる判断力)、「胆識」(信念に基づきやり遂げる決断力と実行力)を持つことが重要であるとお話されていました。

この言葉は、経営大学院入学に際して勉学に燃える学生たちへ向けての言葉でしたが、還暦を迎えたばかりの私にとってより一層心に沁みる言葉でした。3つの「識」を備えるべくさらに精進したいと思う今日この頃です。

藤原  洋

<Profile>

1954年、福岡県生まれ。京都大学理学部(宇宙物理学科専攻)卒。日本アイ・ビー・エム株式会社、日立エンジニアリング株式会社、株式会社アスキー等を経て、株式会社インターネット総合研究所等を設立し、現職。96年、東京大学より工学博士号を取得。現在、SBI大学院大学副学長教授、慶應義塾大学環境情報学部特別招聘教授。