一人で暮らし、一人で食事をし、一人で遊ぶ……こんな単身者が今や増加の一途をたどっている。単身世帯はなぜこれほど増えたのか。こうした事態にどのように対処すればよいか。
単身者増加の原因は何か
国務院発展研究センター社会発展研究部研究室の室長を務める馮文猛研究員は、「中国には1億2500万の単身世帯があり、世帯数に占める割合は25%を超え、世界を見渡して比較しても決して低い数字ではない。構造を見ると、中国の目下の単身世帯は主に2種類の人によって構成されている。1つは高齢者の単身世帯で、高齢になって一人暮らしをしているというパターン。もう1つは若者の単身世帯だ」と述べた。
高齢者の単身世帯の場合、高齢化が進行し続け、そして医療技術が進歩するのに伴って、高齢者の数も増え人口に占める割合も上昇している。高齢の夫婦のどちらかが先に亡くなると、残された方が一人暮らしをすることになる。同時に、家族に対する考え方の変化と世代間の価値観のギャップにより、子ども世代と高齢者が一緒に住む割合がどんどん低下している。
若者の単身世帯の場合、働き始めてすぐの若者の多くが一人暮らしを選択している。これは1つには、若者の多くが地域をまたがって移動して就職しているからであり、客観的に見て両親と同居することが不可能だからだ。もう1つには、両親と同じ都市に住むにしても、生活に対する考え方、生活習慣、行動スタイルなどが異なること、自分だけの自由な空間がぜひともほしいことから、両親と一緒ではなく一人で住むことを選択する人の割合が上昇しているからだ。
過去40数年間に、中国は急速な社会変化を経験し、住環境が改善し、自分を喜ばせることをよしとする風潮が盛んになり、晩婚の人やさらには結婚しない人が増加した。世代ごとの価値観や認識の違いが大きく、世代をまたいだ同居がもたらす問題点がますます多くなるとみられ、こうした状況の中、若者層で一人暮らしをする人の数と割合がさらに増加している。
どのように対処するか
馮氏は、「一方で結婚や出産を望まない価値志向を転換させる必要があり、全国規模で結婚、家庭、出産の重要性を提唱し、人口を増やすことの意義を強調し、より多くの人に出産の価値及び家庭と社会に対する責任を意識してもらい、一部の人の結婚、家庭、出産に対するマイナスイメージを払拭することが必要だ」と述べた。
独身主義が盛んになってまだそれほど時間はたっておらず、多くの人は一人暮らしの状態が長くなると自分の心身や社会の発展に与える問題をまだ認識していない。そのため、結婚・出産がしやすい社会的環境と文化的ムードを創出することが必要になる。一人で生きることは、若いときであれば育児の悩みや負担がなく、思いのままに過ごせるが、中高年になった時に、一人では受け止めきれない問題にぶつかることがある。
同時に、政策による支援とサービスによる支援を提供することも必要だ。多くの人は主観的には一人暮らしを選ぼうとは思っていないが、客観的なさまざまな原因によってそうした状態に追いやられている。よりよい結婚・出産環境を創出するには、より整った結婚サポートサービスを提供する必要がある一方で、実質的な措置を取り、出産・育児・教育にかかるコストが高すぎるという問題を解決し、子育てでサポートしてくれる人が誰もいないとか、子どもを預ける費用が高すぎて負担できないといった出産・育児をめぐる圧力を緩和する必要がある。
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