中国の新職業が若者に大人気

中国の人的資源・社会保障部など3当局がさきに共同で、集積回路工学技術者、企業コンプライアンス師、飲料調合師など18種類の新職業を発表した。2019年以降に発表された新職業はこれで56種類になった。

全国人工知能(AI)応用技術技能コンテストの安徽省予選で、「スマートセンサー技術応用」の試合に出場した選手たち

 

デジタル化モデル転換の必要に迫られる企業

ここ数年、デジタル技術が中国の各業界へ急速に浸透し、企業はデジタル化モデル転換の必要に迫られるようになった。そしてデジタル化管理士、オンライン学習サービス担当者、オムニメディア運営士などの新職業が機運に乗じて誕生した。

一方で、デジタル技術が発展して、プラットフォーム経済が勢いよく発展するとともに、ネット注文配達員、オンライン配車運転手など一連の新職業が誕生した。

製造業のモデル転換・レベルアップのペースが加速し、先進的製造業、スマート製造業へと絶えずレベルアップするのに伴って、一連の技術のウェイトや技能の要求水準の高い新職業が誕生した。

たとえば先端技術の応用に伴って、産業用ロボットシステムオペレーター、量子アルゴリズムエンジニアなどの「SF的キャラクター」が現実になり、「中国製造(メイド・イン・チャイナ)」を駆動して「中国智造(中国のスマート製造)」に向かわせている。

中国国民の生活レベルが向上し続けるのに伴い、社会のニーズがレベルアップする流れが明確になった。ヘルスケアプランナー、呼吸治療士、リハビリ・補助技術コンサルタント、高齢者能力評価士など一連の新職業が誕生し、健康、ヘルケアプラン、介護、食品の安全性などに対する社会的ニーズの高まりを反映している。

同時に、「興味の経済」をめぐる一連の新たなニーズも、細分化された消費分野の新職業を生み出した。若者が好む密室エンターテインメント業界からは、密室推理ゲームのシナリオライター、音響効果スタッフ、運営スタッフなど一連の職業が誕生した。

スマートサービスロボットがAI学習、2本のロボットアームの調整・訓練、視覚訓練などの方法で、コーヒーを入れるといった複雑な動作の模倣を実現

 

若者の5割以上「新職業を試しにやってみたい」

自由に働けて、興味関心と仕事が融合し、自己実現のできる舞台……新職業にはこのような若者の好むさまざまな要因が含まれている。「青年新職業アドバイス」の調査研究によると、若者の5割以上が「新職業を試しにやってみたい」と考えており、2割近くが「すでに関連の仕事を始めた」と答えたという。

黄祖勝さんはデジタル管理士という新職業に就いた最初の人々の1人だ。2014年以来この仕事をしており、年収はかつての数万元(1元は約17円)から現在の35万元(約595万円)になり、常にいろいろな企業から熱心な引き合いがあり、仕事が見つからないという心配はまったくないという。

黄さんは取材に、「多くの中小企業が今も小さな工場式の管理を行い、すべてが社長任せで、どこもデジタル化管理の必要に迫られている。自分の仕事は企業を支援して組織体制、人事制度、管理システムを構築し、デジタル化した事務管理によって企業のコスト引き下げと収益増加をサポートすることだ」と話した。

黄さんのキャリアから新職業の魅力がうかがえる。同部が発表した「新職業——デジタル化管理士雇用景気現状分析報告」によると、デジタル化管理士の87%が現地平均の1―3倍の給料をもらっており、10対1の割合でデジタル化管理士を置いている企業は、置いていない企業より仕事の効率が35―50%高いという。中国で19年に新職業に入ったデジタル管理士は、今ではこの仕事をしている人は200万人を超える。

黄さんのキャリアは特別なケースではない。某サイトで科学技術ブロガーとして活躍する「影視颶風」さんは、この仕事をするようになっても、動画制作は業務の合間の趣味と考えていたが、今では約50人のクリエイターからなる制作チームを立ち上げ、過去1年間の営業収益は2000万元(約3億4000万円)を超えた。昨年末現在、このサイトの月間アクティブブロガー数は190万人に達した。

 

上海市の第1期「産業用ロボットの操作と運営・メンテナンス」(上級)クラスの受講者が産業用ロボットの操作を学んでいるところ

 

今後5年間でニーズの規模が巨大に

ニーズの規模を考えると、新職業の前には大きな可能性が広がっている。人社部中国就職訓練技術指導センターが発表した「新職業オンライン学習プラットフォーム発展報告」によると、今後5年間で新職業の人材ニーズの規模が巨大なものになる。

クラウドコンピューティング工学技術者は150万人近く、モノのインターネット(IoT)の設置調整士は500万人近く、ドローン操縦士は100万人近く、農業マネージャーは150万人近く、人工知能(AI)人材は500万人近く、建築情報模型技術者は130万人近く、産業用ロボットシステムのオペレーターと運営管理者はいずれも125万人が必要になり、全部合わせると約1000万人近い人材が不足するという。