ポストコロナ時代に変わる若者の金銭感覚

お金を使うべき時には使い、使わなくてもいい時は使わない。実のところ、これは若者の「ポストコロナ時代」における一般的な考え方だ。 平安銀行がこのほど2020年上半期の90後(1990年代生まれ)の金融消費行動について調査研究を行った。その関連データをみると、90後が平安銀行のクレジットカード、デビットカードで京東や拼多多などのECプラットフォームで消費する金額が企業活動生産活動再開後に急速に増加し、6月の取引額は2月の5.5倍に増えた。

これと同時に、海外で新型コロナウイルス感染症の厳しい状況が続いていることから、海外での「爆買い」に慣れ親しんできた90後の多くが、海南省に目を向けるようになった。3月以降、90後の三亜国際免税城での消費総額は感染症発生前の水準に戻り、6月の消費総額は2月の32倍近くと激増した。暮らしをこよなく愛する若者は、もう待つことをやめ、消費を享受するのが1つの習慣になっている。

米マッキンゼーアンドカンパニーが発表した「2020年中国消費者報告」は、「中国の若くて自由な消費者は多くの項目で支出を増やしている。新鮮な牛乳、スキンケア、ファーストフード、レジャー用の衣類などだ。実際、この年代は人口の約4分の1でありながら、支出増加の60%をになう」と伝えた。

感染症の収束後、若者の消費行動がより理性的になった。同データでは、今年6月にソーシャルメディアを使った共同購入プラットフォームの拼多多で買い物をした90後の人数が1月の12倍近くに増えている。感染症の後で、ますます多くの若者が新商品の発売や値下げをただ「待っている状態」から、共同購入者を誘って安く商品を買おうと「拼多多でたくさん買い物をする状態」へ変わり、「お得なショッピング」を心ゆくまで楽しんでいることがわかる。


三亜国際免税城で買い物をする人々

別の調査研究によると、「ポストコロナ時代」の若者はお金を惜しまず、またお金を稼ぐ力もあるという。 上述した平安銀行の調査研究データによると、今年上半期には90後の多くが貯金の習慣を維持し、6月に定期預金をした人の数は年初に比べて約12%増加し、若い人も特殊な時期には貯金が保障の役割を果たすことを認識したことが見て取れる。また調査に回答した90後は銀行の資産運用商品を選択することが多く、1回当たりの投入金額は平均で6万元(約93万円)を超え、運用期間が180日以内で、相対的に柔軟で安定した商品を選ぶ傾向があるという。

広州市出身の90後の陳映華さんは「お金を使うのが上手で稼ぐ力もある」若者の1人だ。同市の老舗レストラン「陳添記」の3代目で、祖父の代に始まった同店は40年間1日も休んだことがなかったが、感染症のため初めて店を閉め、2ヶ月間休業した。

感染症で商売ができなくても、払うべき家賃が減るわけではなく、多くのレストランのオーナーが店を閉めるか商売替えすることを考え始めた。陳さんも非常に不安で、毎日隣の店のオーナーと世間話をしては、お互いに励ましあっていた。感染症予防抑制の対応レベルが引き下げられると、この老舗レストランはついに再び客を迎え入れるようになった。

店を守り続けることは店を始めることよりも難しい。今回の感染症により、陳さんは味を守り続けることの大切さをよりはっきりと自覚し、技術を守り続けるだけでなく、時代の流れに応じて速やかに計画を立て、「老舗も時代に追いつくようにしなければ、店がさらに発展し、味がさらに向上することはない」と考えるようになった。


デリバリー業務を始める老舗店舗

陳さんは昨年、父親にデリバリー業務を始めるよう何度も求めたが、こだわりの強い2代目はよしとしなかった。父親に言わせると、デリバリーは味が落ちるので、店の評判に響くのだという。感染症が徐々に緩和された3月、店での飲食が完全には回復しない中、デリバリーの売り上げはよかった。ビジネスを向上させようと、陳さんはデリバリーのパッケージと調理技法を改良し、看板消費の魚の皮を使った和え物をデリバリーしても食材の食感が変わらないようにした。

ただ感染症の影響を前にしては、デリバリーだけではまだまだ足りなかった。営業は再開したものの、陳添記の店の売上高は以前の20-30%ほどになり、帳簿上の資金が消えていく事態に直面して、張さんは焦りを隠せなかった。

友人の助けを得て、陳さん一家は改めて店の資金運営計画を立て、資金の一部を銀行の資産運用商品に投入し、これによって経営でぶつかるキャッシュフローの圧力を軽減しようとした。陳さんは、「陳添記は外食産業が回復すると固く信じている。その時になれば、すべてのことが元通りになっているだろう」と今後への期待を語った。