「セルフメディアの経験がある」中国青年が増加


スマートフォンで生中継しているアニメのキャスター

中国青年新聞社社会調査センターと問巻網(wenjuan.com)はこのほど、18歳から35歳の青年1870人に対する調査を実施した。その結果、回答した若者の72.0%は、「周囲にセルフメディアを運営する人がいる」と答えた。「セルフメディアを運営した経験がある、または現在やっている」とした人は45.6%に上った。また、52.8%は、「セルフメディアのプラットフォームを通じたキャリアの発展について具体的な目標や計画がある」と答えた。

セルフメディア運営事情

成都のある大学院修士課程1年の曲佳さん(仮名)は、先輩の女性を手伝い、大学院受験関係の公式アカウントの運営に携わっている。このほか、自分個人のアカウントも持っている。「先輩を手伝い公式アカウントを運営することに多くの時間を割いている。そこで普段発信している文章はクオリティが高く、大学院受験を希望する学生たちが私たちのカリキュラムに参加しており、そこからいくらかの収入を得ている。文章の執筆も担当しており、原稿料やレイアウトデザイン関連の報酬を得ることもある」と曲さんは言う。

北京でセルフメディアを運営している毛毛さん(仮名)は、あらゆるセルフメディア・プラットフォームに自分のアカウントを開設している。主に科学技術や自動車、インターネット関連のコンテンツを扱い、各アカウントのフォロワーは軒並み1万人を上回っているという。

中国社会科学院大学の羅自文教授は、「メディアコミュニケーション技術の発展とそのあり方の変化に伴い、ますます多くの若者がセルフメディアを始めている。趣味としてやっている人もいれば、職業としての成功を追求している人もいる。社会が発展するにつれて、各人ごとに個性化したニーズは高まり続けており、セルフメディアは成長産業だと言っていいだろう」と指摘した。

調査に回答した若者が利用するセルフメディア・プラットフォームで多かったのは、微信(WeChat)公式アカウント(54.7%)、ニュースアプリ「今日頭条」の認証アカウント「頭条号」(50.8%)、ショート動画アプリ「Tik Tok(抖音)」(46.6%)など。このほか、百度の百家号(28.9%)、快手(24.8%)、捜狐号(17.5%)、微視(12.4%)なども挙がった。

曲さんは、「私の周囲には、セルフメディア・プラットフォームで何か書いている人がかなり多い。でも皆学生なので、それを職業にしている人はいない。セルフメディアを運営するには、まず、多くのアクセスを得るためにはどのような内容が良いのかを理解しなければならない。さらには、文章作成、編集、動画撮影、画像加工などのスキルも必要だ。それらを身に付けられれば、その後のキャリアアップの助けになるだろう」との見方を示した。

若者がセルフメディアというルートを通じて自らのキャリアを発展させることについて、若者の66.1%は、「さまざまな興味を育て、各方面での能力を高めるのに役立つ」と考えていた。このほか、「時代の潮流にマッチしており、トレンドのキャリア発展の仕方だと思う(56.0%)」、「セルフメディアを通じて、さまざまなタイプの人々と接し、人間関係を幅広く開拓することができる(51.6%)」などの意見があった。だが一方で、「セルフメディア・プラットフォームは不安定であり、何の保障もなく、長期的な職業とすることはできない(32.8%)」、「セルフメディア・プラットフォームでは、専門能力を育成することはできない(13.7%)」といった否定的な声もあった。

運営には専門スキル必要

調査に回答した青年は、セルフメディアをするのに向いている人には、「様々なソフトウェアやスキルをマスターしている(60.9%)」、「時間的な余裕が十分にある(55.7%)」、「柔軟な考え方と革新的精神がある(53.9%)」の3つの特徴があると考えていた。このほかの特徴として、「時代の潮流に乗り、時事問題に敏感(46.7%)」、「独特な視点を持ち、世論をリードすることができる(24.7%)」なども挙がった。

調査に回答した若者の65.4%は、「セルフメディア運営を職業とするには、専門スキルを伸ばす必要がある」と考えていた。このほかの回答としては、「革新的精神を保ち続け、時代の潮流に乗らなければならない(62.7%)」、「職業観面でのリスクに対する意識が重要(51.8%)」、「自律心と社会に対する責任感を高める必要がある(35.0%)」などがあった。

セルフメディアは、多くの若者にセカンドキャリアのチャンスを提供した。調査に回答した若者のうち、「複数の職業を持っている」とした人は45.6%に上った。具体的には、「2つの職業をもっている」は37.8%、「3つ以上の職業をもっている」は7.8%だった。

羅教授は、次のような見方を示している。「多くの若者は、『生涯に一つの職業だけ』という生き方にはすでに満足していない。ある意味では、このような傾向は、社会の進歩を促す原動力となる。個人的には、『スラッシュ青年(複数の職業を“/”で並べること、マルチキャリア)』がセルフメディア・プラットフォームを通じてセカンドキャリアを発展させることに賛成だ。だが、『程度をわきまえる』ことと『力相応に物事を進める』ことが必要だ。『程度をわきまえる』とは、つまり、セカンドキャリアがメインの職業に悪影響を及ぼさないよう注意を怠らず、あくまでもメインとサブをはっきりと区別しなければならない。『力相応に物事を進める』とは、自分のキャパシティを把握して、精力や体力を使いすぎないよう気を付けることだ」。

調査に回答した青年を居住地別で見ると、一線都市は29.1%、二線都市は50.2%、三・四線都市は19.1%、城鎮・県城(県政府所在地)は1.4%、農村は0.2%となっている。