若いホワイトカラーの3割が転職検討中

「金の9月、銀の10月」などと言われるように、毎年この2カ月間は転職のシーズンだ。情報サイト58同城がこのほど発表した「2018年若年ホワイトカラー転職調査研究報告」によると、若いホワイトカラーの35.8%が転職を検討中で、求職者の70%以上が履歴書の準備をしたり、すでに送ったりしているという。この調査研究のデータは勤続年数5年以内、大学専科(短大に相当)、本科(4年制大学に相当)、大学院以上の学歴をもつ若いホワイトカラーに関するもので、うち2428歳が39.4%、本科卒業生が69.7%、勤続年数23年が30%を占めた。

残業と転職

今回の調査研究の対象となった産業のうち、転職率が高いのは総務の16.4%、インターネットの14.8%、販売の12.2%だった。意外だったのは、比較的安定しているとみられる人事総務庶務の転職率がトップだったことだ。

同報告によれば、実際には人事総務庶務は金融銀行証券投資産業や教育研修産業などに比べて賃金が低く、特に一線都市と新一線都市では、人事総務庶務に従事する多くの若いホワイトカラーが仕事で経験を積んだり、専門的な資格を取ったりして、より専門性や賃金が高いポジションに移って発展することを希望しているという。

また販売産業もその特殊性から、半年以内の転職率が最高だった。コンピューターインターネット通信も転職率の高い産業で、働き始めてから1年もしないうちに転職する割合が33.3%になった。

同報告は、「高い転職率は労働時間と密接な関連がある。販売とコンピューターインターネット通信は労働時間が一日あたり10時間を超える割合が高く、労働強度が高く疲労を感じやすいため、転職がおのずと選択肢に上がる」との見方を示す。

またデータによれば、勤続年数12年の若いホワイトカラーの転職率が最高で43.4%に達し、これは職場の「若い人気者」が主な転職予備軍であることを意味する。

同報告は、「モバイルインターネットが発展し、情報の受け取り方法がますます便利になるにつれ、初めて社会に出た若いホワイトカラーは転職を通じてより多くのキャリアを積み、さまざまな挑戦を通じて将来のキャリアの道筋を正確に見定めたいと考えるようになった」との見方を示す。

転職の主な理由

報告を全体的にみると、若いホワイトカラーの転職の主な理由として「賃金が安い」、「キャリア成長が望めない」が挙げられ、それぞれ52%と50.9%を占めた。次は「仕事のプレッシャーが大きすぎる」で42.5%だった。

若いホワイトカラーが直面するプレッシャーは主に経済状況と競争からきており、「経済状況のプレッシャーが大きい」と考える人は62.2%、「競争のプレッシャーが大きい」とする人は61.3%に上った。相対的にみて「失業のプレッシャーが大きい」とする人は少なく、23.8%にとどまった。

若いホワイトカラーが転職で最も重視するのはキャリア成長で、真っ先に選びたいのはキャリアの見通しが良好な仕事だ。また賃金も要因の一つだ。一線都市と新一線都市に暮らす若いホワイトカラーの家賃、食費、日常の出費は相対的にかなり高く、経済的負担が重いため、所得が低いと仕事を辞めることを考えるようになる。

また同報告によると、転職を選択する若いホワイトカラーには心配事がたくさんある。54.5%が「転職先でのキャリア成長の見通しがはっきりしないことを心配している」と答え、51%が、「転職先での人間関係が複雑ではないかと心配している」とし、46.9%が「期待したほどの賃金がもらえないのではと心配している」という。

賃金への期待

同報告は、「若いホワイトカラーは転職に際して賃金の大幅上昇を願う人が多く、半分以上が50001万元(約8万2000円16万4000円)の上昇を希望する」と伝える。

若いホワイトカラーの理想とする賃金上昇率と現在の賃金とは正比例し、賃金が高いほど期待する上昇率も高くなる。ここからわかるのは、賃金上昇は若いホワイトカラーの誰もが追い求めることだが、高い賃金を得ている人ほど自分の価値を金銭に換算した場合に高い期待を寄せるということだ。

若いホワイトカラーは転職をめぐって準備のない戦いはせず、90%近くが、「転職を考える際には、まず将来のプランをしっかり立て、次の仕事を見つけてから今の仕事を辞める」と回答した。

「次の仕事が見つかる前に今の仕事をやめる」とした人は10.4%にとどまり、高所得者が多かった。高所得者は仕事の能力が高く、貯金も十分にある人が多く、次の仕事を見つけずに今の仕事をやめても、その結果を十分に引き受ける力があるからだと考えられる。

同じホワイトカラーでも既婚者より未婚者の転職率が高く、また未婚者の場合、次の仕事を決めぬまま辞職する確率が高いという特徴がある。独身ホワイトカラーの14.4%が次の仕事を見つける前に今の仕事を辞めているが、既婚者ではこの割合が7.6%にとどまる。

同報告の分析によれば、「既婚者は高齢者や子どもの面倒を見る必要があり、経済的負担が重いため、転職はより慎重にならざるを得ない」という。

キャリアプランを立てる男性

同報告は若いホワイトカラーのキャリアプランについて統計を取り、その結果、男性の19.7%が5年間以上のキャリアプランを立てていることがわかった。女性ではこの割合が11%だった。

また年齢層ごとにキャリアプランに違いがみられた。95後(1995年から1999年生まれ)は13年間のプランを立てる人が最も多く35.2%に達し、80後(1980年代生まれ)と90後(1990年代生まれ)を上回った。90後は中期的プランを立てる人が多く、35年間の割合が最高で44.9%に達した。

同報告は、「90後の若いホワイトカラーは働き始めてから比較的長い時間が経っており、仕事も生活も相対的に安定しており、キャリア上の目標が明確で、中期キャリアプランを立てる傾向がある。また95後は働き始めたばかりで、総合的なキャリア成長ということではまだ明確な構想がなく、短期的プランを立てる人の割合が最も高い」との見方を示す。