海外から高評価される中国社会の治安

「中国はどれくらい安全なのか」という問題が先ごろ、世界各国のネットユーザーの間で話題になり、中国人ネットユーザーの注目も集めるようになっている。この問題の答えは、一方に偏る傾向が観られている。中国旅行の経験がある、もしくは就労・留学で中国に滞在している外国人の多くは、中国の治安環境について、「全く問題ない」としている。似たような経歴や同じ感想はいずれも、極めて説得力があるように見える。果たして中国は本当に安全なのだろうか。また、外国人はなぜ「中国は安全」だと感じるのだろうか。この問題について、専門家の意見を聞いた。


地下鉄駅に設けられている保安検査場

中国の治安に対して外国人が抱く好印象の多くは、日常の生活体験から来ており、いわゆる「比較がなければ判断もない」というものだ。記者が詳しく調べたところ、外国人が中国を安全だと考える理由は、主に次のいくつかの点にまとめられる。

〈1〉深夜でも外出できる。

これは、外国人が指摘したポイントのうち最も多くの人が挙げた、「中国は安全」と心から感じる具体的根拠である。

スウェーデン出身の俳優、ティモシー・ピロティさんはかつて、北京で2年にわたり京劇を学んだ経験がある。彼は、「北京では、深夜でも一人で外出できるし、集まりに出た後一人で帰宅できる。その時にも、身の安全を心配する必要はない。一方、欧州では、深夜に一人で外出することはとても危険だ」と話した。

〈2〉セキュリティチェックが厳しい。

特に、地下鉄などの公共交通機関は、非常に安全かつ便利で、中国に来た外国人のほとんどが強く印象に残っている。

上海で働くベルティさんは、「中国の地下鉄駅には、保安検査場が設けられている。深夜に地下鉄構内にいても、安全に対して不安を抱いたことはない」と語った。

中国系米国人のバイオリニスト、夏三多さん(中国語名)は、「シカゴと、北京などの中国の大都市とは、全く比較にならない。シカゴでは、地下鉄に乗り、ドア付近の位置でスマホに夢中になっていたら、列車がホームに到着してドアが開いた瞬間、スマホを奪われるだろう。所属する楽団の同僚の多くが、かつてスマホを奪われた経験がある」と話した。

〈3〉銃規制が厳しい。

米国など、一般市民が銃を所持することを許可している国家に比べ、銃に対する厳しい規制が設けられている中国は住む人に安心感を与えている。

アフリカ系米国人のマシュー・ベルさん(27)は、米国における銃の氾濫をめぐる問題について、「このような問題は、中国では起こり得ない。逆に、中国の厳格な規制は、自分にとってやや『適応できない』感じがする」との見方を示した。

〈4〉治安管理が細かく、公共の安全を守る中国の意気込みが各所に反映されている。

仏エクス=マルセイユ大学の大学院生、ジュール・イツハークさんは、「公共の安全を守ろうとする中国政府の努力は、誰の目にも明白だ。たとえば、人が多く集まる場所には、公共の秩序を維持するために、制服を着用した警官の姿があり、危険物が公共スペースに持ち込まれることを有効に防いでいる」と述べた。


上海・南京路

〈5〉人々の想いが熱く、中国での旅行・学習・仕事・生活すべての面で帰属感を持てる。

現在、タイ・チェンマイに住む英国人のステファン・ホワイトヘッドさんは、「中国はタイより安全だ。これは、中国人が外国人に対して友好的で礼儀正しい上に、人々が武器を一切所持せず、警察の安全保障体制が万全なことによるものだ」と話した。

中国はなぜ安全なのか。中国人民公安大学国際警務法律執行学院の副院長を務める劉宏斌教授は、以下のような見方を示した。

「まず、中国文化と中国社会の包容力が大きいことから、中国に来た外国人は、文化の違いによる対立的な事態に直面することはあり得ない」。

「欧米諸国には、人権保護をめぐる厳格な規定があるが、文化面での対立は依然残っているのが一般的だ。外国人が異なる文化を持つ環境に入った時、その土地の主流文化による差別を受ける場合が往々にしてあるが、中国ではこのような問題はまず発生しない」。

「歴史的にみると、中国文化は、さまざまな民族の文化が融合することで形成された結果であり、非常に大きな包容力を備えている。中国人は極めて情熱的で友好的だ。中国にやって来た外国人は通常、安全面での心配をすることなどあり得ない」。

文化的な視点から見た場合、中国の社会文化は安定を尊び、暴力を放棄する性質があるという意見がある。中国で10年間働いた経験があるカナダ人のレイ・コモさんは、「中国では、政府や社会などいかなる方面においても、暴力は絶対に受け入れられない。友人が互いに影響し合う『同世代による圧力』が犯罪の抑制に非常に有利に働いているため、中国では、再犯率は非常に低い」と指摘した。

多くの外国人ネットユーザーが、中国が安全である背景には、銃をめぐる問題が主に存在していると認識していることについて、劉宏斌氏は次のように指摘した。

「確かに中国には、欧米諸国が直面する銃や麻薬の氾濫といった問題は存在しない。特に、『ポルノ』は、さまざまな社会治安問題を引き起こす隠れたリスクとなっている。中国政府はこれまで、ポルノ取締りをかなり厳格に実施してきた。さらに、治安に対する厳しい管理コントロールが功を奏し、銃が絡む深刻な暴力犯罪事件が減少傾向にあり、社会秩序は改善し続けている」。

上記の指摘は、統計データからも立証されている。2016年、中国全国の殺人事件はわずか1万件ほどで、殺人事件の発生率は10万分の0.6前後だ。ほとんどの地域・都市では、特に大きな事件は発生しておらず、全国で発生した深刻な暴力犯罪事件の件数は、2012年比で4割以上減少した。一方、米国では2016年だけでも、各州で発生した銃関連事件で1万5039人が死亡、3万589人が負傷した。死者のうち数百人が12歳未満の子供だった。