莫大な資本を呼び込む「ペット経済」

社会が発展するのにともない、家庭の中でのペットの地位が急速に上昇しており、ペットを家族の一員とみなし、食べ物や関連グッズにお金を使いたいと考える人がますます増えている。ペット産業が人気を集め、「一攫千金をねらう人」の参入が相次ぐ。1000億元(約1兆6172億円)を超える巨大市場は、資本の熱い視線を集め、ここ2年ほどの間に、ペット概念株が新三板市場(店頭市場)に次々登場し、新規株式公開(IPO)にこぎ着けたところもある。資本時代に突入したペット産業はこれからどうなるだろうか。

 
2017年のメーデー連休中、成都のデパートに設けたペットショップ

80後と90後のペット消費

1990年生まれ(90後)の劉さんはサラリーマンで、漫画のキャラクター「ガーフィールド」のような猫を飼っている。「この子と一緒にいると安心する。人形などのおもちゃより、猫が生き生きして感情が豊かだ」と話す。

猫を飼えばそれなりの消費が必要だ。劉さんの場合、えさ代、ペットショップでのグルーミング代、服、おもちゃ、砂、サプリメントなどを合わせると、毎月約500元(約8086円)から850元(約1万3746円)の出費があるという。

犬を飼った場合も同じだ。トイプードルを飼う斉さんの場合、えさ、おやつ、グッズはすべて輸入製品で、これに動物病院での定期的なグルーミングにトリミングなどを合わせると、毎月の出費は1000元(約1万6172円)前後になる。

北京観賞動物病院は北京でもっとも早くペット診療を手がけた病院だ。ペット医療業界で働いて10年以上になる戴京生院長補佐は、「みたところ、ペットを飼うのは昔はハイレベルのニーズだったが、徐々に大衆の消費へ変わってきて、特にここ2年ほどは大衆化が著しい。80後(1980年代生まれ)や90後の層が消費の中心になり、持続的に人気のペット経済はさらに『爆発的』な状況をみせている。犬を飼う場合、毎月の平均支出が1000元(約1万6172円)から1500元(約2万4258円)になるのも珍しくない」と話す。

 

猫好きの金鉱に群がる挑戦者

戴院長補佐は、「今、ペット病院は増加傾向にあり、各地でまんべんなく花を咲かせているといった状況だ。(自分の働く)病院の一日あたりの平均受診件数は約100件に上る。小さな病気ならコミュニティ周辺の動物病院で事足りる。うちは主に難しいケースを受け入れている」と説明する。

今や、町中やコミュニティではペットショップや動物病院がいたるところでみられるようになった。マップアプリで「ペットショップ」、「動物病院」と検索すると、検索結果は1000件を超える。その多くはここ数年の間に誕生したものだ。

 

ペット概念株が資本市場に

ペットの繁殖や取引からえさ、服、おもちゃなどに至るまで、さらにグルーミング、トリミング、エステ、歯磨き、診察、そして最後はお葬式に至るまで、ペット産業には現在、長い産業チェーンが構築されている。狗民網とアジアペット展覧会(ペットフェアアジア)がこのほど共同で発表した「2016年中国ペット業界産業および消費者行動調査報告」によると、昨年の中国ペット産業の市場規模は約978億元(約1兆5816億円)で、目下、年平均32.8%のハイペースで成長し、20年には2000億元(約3兆2345億万円)の大台を突破することが予想されるという。

それほど目立たなかった犬猫ビジネスが、今や1000億元(約1兆6172億円)規模の巨大市場を生み出した。市場には可能性があり、資本はこの青海の中でたどり着く岸辺を探し回っている。新三板市場にペット概念株を登場させた企業は6社あり、昨年は4社だった。

ペット市場がどれくらい人気か、こうした企業の業績をみればよくわかる。ペット用食品を手がける佩蒂股份がこのほど発表した年間決算をみると、昨年の営業収入は10.69%増の5億5100万元(約89億1105万円)で、純利益は8036万6100元(約12億9972万1800円)に達し、同38.05%増加した。

戴院長補佐は、「昨年以降、資本がペット産業に流れ込むようになった。南方資本の一部が現在、活発に動いており、動物病院の買収や合併を進めている」と話す。

活発な資本が流れ込むことで、ペット産業には発展チャンスが訪れたが、寄り集まって一気に動けばバブルを発生させることになる。戴院長補佐は懸念する点として、「獣医は今、ひどく供給不足で、動物病院の規模を大幅に拡大すればサービスの質が低下する可能性がある」ことを挙げる。