ブルーカラーの給与がホワイトカラーを上回る

年末年始になると、年間所得ランキングをまとめる時期がやって来た。どの業界が2016年、好調だったのだろうか。従業員から「いい会社」と思われているのはどんな会社なのだろうか。最近、ネット関連の企業が相次いで人材募集に関する報告を発表し、上記の質問に答えるヒントを与えてくれるだけでなく、その背後にある人材の争奪戦や一儲けを狙う企業間の競争の姿が見えてくる。

 
工場で働いているブルーカラーたち

ブルーカラーの給与がホワイトカラーを上回る

58集団人的資源事業群(HRG)は2016年12月20日に「第一回卓越した雇用者盛典」を開催し、「2016-17年度ブルーカラー募集市場白書」を発表した。58集団の統計によると、一線都市において、給与が最高だったのは依然としてソフト開発・プログラミング業界。北京、上海、深センの金融、銀行、証券業が最も発達しており、平均給与は約7000元(約11万9000円)。特筆すべき点は、都市サービス業が多くの技能型ブルーカラーを生み出していることで、月嫂(出産後の母子の世話をする専門の家政婦)やマッサージ師、トレーニングコーチなどの給与が、都市部のホワイトカラーを上回っている。技能型ブルーカラーは、「ゴールドブルーカラー」にレベルアップしており、北京を例にすると、母乳マッサージ師やトレーニングコーチの平均給与が約6500元(約11万円)に達しているほか、運転手の平均給与も5736元(約9万7500円)となっている。

ブルーカラーの所得が全体的に増加しているのは、人材不足やローエンドブルーカラーの給与水準が向上しているのが主な原因だ。58集団の統計によると、16年、ブルーカラーの給与は前年比12%増となった。中華英才網の統計によると、同年、ホワイトカラーの給与の増加幅は7%にとどまった。その他、国家戦略「インターネット+」もサービス業の雇用創出を促進している。例えば、配送サービスアプリ「58到家」の登場で、家政婦や月嫂にとっては顧客を探しやすくなり、収入アップにつながった。現在、「58到家」に登録している一線都市の家政婦の平均給与は4000~1万元(約6万8000~17万円)、二線都市なら3500~8000(約6~13万6000円)元だ。

「百度」、「美団」、「Eleme」などのデリバリープラットホームも、直営店、フランチャイズ、クラウドソーシングなどのスタイルで、専業や副業の配達員の仕事を創出し、高収入となっている。58集団の統計によると、16年1~9月期、家政婦や運転手、宅配員、配達員などへの求職者が急増し、うち、配達員が233%増と増加幅が最大となった。これらの仕事の給与も上昇中で、配達員の平均月収は5000元(約8万5000円)を超え、運転手も約5000元だった。

人気のネイリストやエステティシャンの収入は驚くほど多い。ネイリストなどを探すことができるアプリ「河狸家」によると、登録者の多くが月収1万元以上となっている。15年4月、河狸家に登録しているエステティシャン・温蒂さんは、同年の総所得が137万元(約2329万円)に達した。そして、2016年年11月末の時点で、総所得が156万元(約2652万円)に達した。「2016年はまだ1カ月あり、引き続きがんばりたい」と温蒂さん。

 
ブルーカラー技能コンテストに参加している介護士

北京、IT関連の人材不足

インターネットの急速な普及が人材の流動を刺激している。求職サイト・獵聘網が発表した「北京人材ビッグデータ報告」によると、16年1~9月期、北京のIT業界の人材需要が全体の半分以上となる54.35%を占め、2位から4位の金融、広告・メディア、不動産を大きく上回った。

IT関連の人材も北京で就職することを好んでいる。16年1~9月期、北京のIT人材の供給は、全体の33.39%を占め、最多だった。同期のIT人材の供給増加幅は2.55%にとどまったものの、北京では依然として深刻な人材不足となっている。

最近開催された「運営直昇機」のサミットで、運営直昇機の陳暁亮・最高経営責任者(CEO)は、「インターネットの運営人材はますます重視されるようになっており、今後は、カスタマー・バリューを向上させる上で中心的な役割を担うようになるだろう。今後、当社は、運営スタッフに対して、業務強化を支持する。突出した技術を持ち、かつマルチプレイヤーの人材は、企業に重宝されるようになるだろう」と語った。