ルームシェア時代に突入する中国

不動産価格の上昇にともない、北京では賃貸料も「暴走」しつつある。北京のいくつかの区で取材したところ、夏休みの年度替わりの時期を経て、北京の賃貸料は軒並み上昇していた。交通が便利な場所にある物件は平均で20%も値上がりしている。高額の賃貸料が「店子」にとって重い負担であるのは間違いない。不動産価格の持続的上昇により、非北京出身者たちは全面的なルームシェア時代に突入した。


ルームシェアしないと家賃を負担できない若者

不動産賃貸料が軒並み上昇

北京では不動産売買価格の持続的な上昇にともない、今年は賃貸料も軒並み上昇している。国家統計局が発表した今年7月の消費者物価指数(CPI)は前月比0.2%上昇、前年同期比1.8%上昇だった。住居消費価格は前月比0.1%上昇、前年同期比1.6%上昇で、そのうち賃貸料価格は前月比0.4%上昇して、上昇幅は前月に比べ0.1ポイント拡大した。

これについて不動産サービスの偉業我愛我家集団の胡景暉副社長は、「6月から7月にかけて、全国で賃貸料の前期比上昇幅が拡大を続けたのは、主に大学、高校、各種専門学校の卒業生の賃貸ニーズが集中的に現れたため」と分析する。

「店子」10数人を取材し、大まかな統計をまとめると、前年同期に比べて、今年6月以降に北京地区の不動産賃貸料は12%上昇した。地下鉄駅から近い交通の便利な場所にある物件は、平均上昇幅が20%を超えた。

ルームシェア時代に突入

賃貸料上昇が非北京出身者を苦境に陥れている。馬さんは、「2008年に学校を卒業した当時は、1カ月の給料が5000元(約7万7500円)で、月壇に近い80年代に立てられたワンルームの家賃が大体3000元(約4万6500円)だった。今、給料は8000元(約12万4050円)に上がったけれど、家賃も5500元(約8万5200円)になった。上がった分の給料は全部家賃に消えている。それで仕方なく友達とルームシェアをしているが、信じられないことに、ひとつの部屋の家賃は3500元(約5万4200円)にもなる」と話す。

こうした問題について1990年代生まれ(90後)の「微信」(WeChat)ユーザー500人を対象に調査を行い、収入に占める家賃の割合を聞いてみた。

調査結果によると、学業を終えた90後は、「家賃が給料に占める割合は30%が妥当」と考えるが、回答した500数人のうち、約60%が、「家賃の占める割合が50%を超える」と答えた。呉さんは、「さらに頭が痛いのは、ルームシェアにしてもやっぱり家賃が高いこと」と嘆く。

調査によれば、非北京出身者の94%がルームシェアをして、家賃を折半している。中古物件仲介サイトの鏈家も「自如客」というプロジェクトをうち出し、1つの物件を分割して、部屋ごとに貸し出すサービスを提供している。

文学青年が集まる豆瓣網をみると、「北京賃貸」に関連したグループが数え切れないほどあり、規模が5万人以上のものが6つある。「北京の仲介手数料無しの賃貸」というグループには12万7400人ものメンバーがいる。手数料無しと称しているが、中には仲介業者などが混雑している。