中国で将来性のある仕事は何か

第13次五カ年計画の提案で最も人々の関心を集めた話題は収入だ。今後5年間、どの産業が真っ先に収入の倍増を達成するだろうか。一番将来性のある仕事は何だろうか。同計画の提案からうかがえる収入が増加する新たな分野は何か。こうした問題への答を求めて、複数の専門家を取材した。

ソフトエンジニアがますます人気

大学を卒業して4年になる蘇さんは、大手インターネット企業の上海支社でアップルのiOSシステム向けアプリケーションの開発を手がけるシニア研究開発エンジニアで、年俸は35万元(約672万円)になる。30歳の張さんは深圳市の金融機関のデータ開拓エンジニアで、年俸は25万元(約480万円)前後だ。

人力資源・社会保障部国際労働保障研究所の莫栄所長は、「第13次五カ年計画機関には、インターネットや情報に近い職業ほど、収入が倍増する可能性が高くなる」と話す。

就職情報プラットフォーム・看準網の創始者で、人材募集サイト・智聯招聘の前最高経営責任者の趙鵬さんは、「インターネットはこれまでは一つの産業に過ぎなかったが、今ではどの会社にとっても必要な技能に変わった。コンピューターソフトウエア関連の人材ニーズがより大きくなり、給与も上昇を続けており、特にビッグデータのエンジニア、モバイル開発者は市場で人材が不足している。エキスパートであれば収入はさらに急上昇するだろう」と説明する。

クロスオーバー人材が「引く手あまた」

江蘇省の31歳になる程さんは、銀行から上海のP2P(ピアツーピア)企業のリスク管理マネージャーに転職し、月給は3万5000元(約67万円)だ。国内の養豚産業のサイトが2015年11月11日から北京で、ネットワーク営業販売マネージャーとして大学本科を卒業して3~5年の人材を募集し始めた。月給は2万元(約38万円)から3万元(約57万円)という。

趙鵬さんの話:「『インターネットプラス』の時代には、『両生類』のように2つの世界を知るクロスオーバー人材はなかなか得難く、報酬も当然のことながら上昇する。たとえばネットバンキングの急速な発展で、ネットと金融の両方に詳しい人材は引く手あまただ。また自分の属する産業のルールを掌握すると同時にソーシャルネットワーキング・サービスの特徴も熟知したクロスオーバーの営業販売担当者も引っ張りだこだ」。

スマートハードウエア従事者新たな人気者に

従来型コンピューター産業と異なり、北京中関村にある科学技術企業ではスマートウェアラブル設備を手がけるハードウエア電子回路エンジニアの潘さんが、オフィスでコードを書くことはもとより、蘇州や深圳などにたびたび飛んで製造業者と製品のデザインについて話し合うことも担当する。能力の高い潘さんは、入社からわずか2年で月収が3万元(約57万円)になった。

趙鵬さんの話:「発展の流れがハードウエア産業の収入の持続的上昇を決定づけた。小米ブレスからアップルウォッチまで、さらには血糖測定器や電子ドアコントローラーなどのスマート家電まで、スマートハードウエアの応用範囲がますます広がるが、人材育成のペースはしばらく産業の発展に追いつきそうにない。そこでスマートハードウエアの設計や開発を手がけることのできる技術者はここ数年は相当いい思いをするだろう」。

農業経営者の将来性は広大

山東省高唐県の農村に住む王長印さんは今、栽培面積の持続的な拡大で大いに忙しい。当地の大規模農家として、土地600ムー(40ヘクタール)を貸し付け、タマネギとコムギの二毛作を行う。「穀物を育てれば10万元(約192万円)から20万元(約384万円)の収入になり、これに収穫後の副産物である残茎があり、2015年は30万元(約576万円)以上の収入だ」と話す。

山東社会科学院経済研究所の張衛国所長の話:「大規模化された経営、産業化された経営により、農村にはより多くの『かっこいい農民』が生まれるようになる。第13次五カ年計画期間中、農業の基本的役割を引き続き重視するという国の流れは変わらず、農業分野の変化はより深く広いものになる。その頃には高収入の職業としての農業に従事する人がより増えているだろう」。


引き続き人気がある高級家政婦とベビーシッター

デザイナーが「発展中」

大学専科(短大に相当)を卒業した李さんは大手自動車メーカーで工業デザインを5年間手がけた後、2人の同級生とデザイン会社を興し、自動車部品のデザインサービスを提供している。起業から2年足らずで、会社の売上は100万元(約1920万円)を超えた。

趙鵬さんの話:「ニーズの個別化が消費のトレンドだ。これからは工業デザイン、ファッションデザイン、ホームページデザイン、グラフィックデザインなどに将来性が見込めるだろう」。

高級家政婦ベビーシッターが人気

河南省信陽市出身の劉愛群さんは北京の家政婦派遣会社で高級家政婦として働いて7年あまりになり、1カ月に26日間働いて1万1000元(約21万円)を手にする。雇い主は劉さんに食事と寝場所を提供するだけでなく、祝休日には2倍の賃金を支払わなければならない。劉さんの娘は実家近くのスーパーで働いており、月収は1000元(約1万9000円)ほどだ。

専門家の話:「高齢化社会や『2人目』ブームの訪れにともない、介護や育児などの高度サービス産業が今後数年間は供給が大いに不足し、看護士、高級家政婦、ベビーシッターなどの職種は賃金が高水準を維持するだろう」。