中国がサッカー改革の総合プランを発表

中国国務院弁公室庁はこのほど「中国サッカー改革発展総合プラン」を発表した。中国にワールドカップ(W杯)大会を誘致することや、サッカー協会と体育総局の構造改革、サッカーくじの導入などが盛り込まれている。

プラン1W杯大会誘致とW杯大会出場

同プランによると、サッカーの発展を経済社会発展計画に盛り込み、三段階に分けた戦略を実施する。

実現に向けた短期目標としては、管理体制の整備や中期・長期の発展計画の制定、中国の特色ある管理スタイルの構築などを挙げている。

また、中期目標として、青少年サッカー人口の大幅増加を実現するほか、プロリーグや試合のレベルをアジア一流に向上させ、男子代表チームのレベルをアジア上位に、女子代表チームを世界強豪のレベルに向上させることを挙げている。

長期目標は、W杯大会誘致とW杯大会出場、五輪出場と、胸躍る内容となっている。


小中学校でのサッカーの授業の増加は改革プランの1つとされている

プラン2中国サッカー協会と体育総局の構造改革

中国サッカー協会の改革も常に社会の注目を集めてきた。今回の改革プランでは、中国サッカー協会と体育総局の 「2枚看板であるものの、実質的には1つの組織」という構造を解体し、内部機構の設置などの分野において、それぞれが自主決定権を持つように改革するとされている。

サッカー協会の指導機構に関して、同プランは、中国サッカー協会は、行政ランクを設けず、国務院体育行政部門の代表やサッカー専門家、一般社会人、専門家の代表などが指導機構を構成することで、その機構のプロフェッショナル化を実現すると明確に規定している。

プラン3サッカーくじの導入検討

サッカーの発展のためには、資金サポートも必要だ。その点、同プランは、各級政府機関に対して、投じる資金を拡大するよう求めるほか、体育部門や教育部門などに対しても、関連の予算を計上し、サッカーの発展に貢献するよう求めている。

また、中国サッカー発展基金会を設立し、各事業単位(国家が社会公益目的のため、国家機関により運営あるいはその他組織が国有資産を利用し運営するもので、教育、科学技術、文化、衛生などの活動に従事する社会サービス組織)や個人などからの寄付を募る。その他、毎年スポーツ振興くじが、同基金会に一定の資金を援助するようにするほか、中国のプロサッカーリーグの試合を対象としたサッカーくじの導入を積極的に検討する。

プラン4「八百長」根絶に向け理事会が公安などと協力

プロサッカーリーグの分野を見ると、同プランは、独立社団法人の資格を持つ「プロサッカーリーグ理事会」を立ち上げ、プロサッカーリーグの組織、管理を担当するよう規定している。そして、中国サッカー・スーパーリーグ(CSL)、中国サッカー・甲級リーグ、中国サッカー・乙級リーグのシステムを合理的に構築するようにと規定している。また、中国サッカー協会が理事会を監督、管理し、理事会の一員を務める代表も派遣する。一方の理事会も中国サッカー協会の一員を務める代表を派遣し、関連の問題の解決策検討に参加する。

これまで、「八百長」が中国においてサッカーの発展を妨げてきた。この点、同プランは、審判が公正な判定をし、コーチ、選手がルールを守るよう促すメカニズムを整えるよう規定している。また、サッカー管理部門が、裁判所、検察、公安などとの協力を強化し、違法行為通報システムや密接に協力するシステムを構築することで、「八百長」などの違法行為の防止、捜査、検挙などを効果的に行う。

プラン5クラブ名や本拠地の頻繁な変更を防止

同プランは、サッカーの基礎となる、サッカークラブにも焦点を合わせている。クラブ運営には多額の資金が必要であるため、中国では、クラブの名称が頻繁に変わったり、オーナー会社の変化に伴い頻繁にクラブの拠点都市が変わるという現象も少なくない。この問題に関して、同プランは、地方政府に対して、優秀なクラブが、基礎がしっかりした、サッカー発展においてモデル性ある都市で安定した発展を遂げることができるような条件を整えるよう求めている。そして、オーナー会社の変化に伴い、クラブが頻繁に本拠地を変え、安定性に欠けるという状況発生を食い止めるようにとしている。

また、同プランは、地方政府に対して、スタジアムがクラブの株式を保有することで、合理的な資金源確保を進め、クラブの地域化を推進するほか、条件を満たすクラブが、名称をオーナー企業の名称ではなく、地域名を盛り込んだ名称にし、長期にわたって存続するクラブの構築を目指すよう求めている。

プラン6小中学校でサッカーの授業増加へ

サッカーをする子供を増加させ、サッカー人口を拡大するため、同プランは、各地の小中学校は、サッカーを体育の授業に盛り込み、その時間も増加させなければならないと規定している。また、中国全土には現在、サッカーに力を入れている小中学校が約5000校あり、2020年までにはその数を2万校、25年には5万校にまで増加させたい考えだ。うち、女子サッカーに力を入れる学校が一定の割合を占めている。

保護者や学生がサッカーに伴うケガを心配していることに関して、同 プランは、サッカー保険のシステムを整備し、政府の購入サービスを増加させ、校庭におけるサッカーの安全性を保証するよう求めている。

プラン7一般市民がサッカーできる場所確保へ

一般市民がサッカーができる場所を確保するため、同プランは、サッカー場の建設を、都市化や新農村建設などの計画に盛り込むよう求めている。また、硬直的需要を明らかにし、各級政府がそれを統率して実施するとしている。その他、学校にあるサッカーコートを、放課後の時間に低価格か無料で社会に開放し、学校と社会がサッカーコートを共有できるシステムを構築するよう求めている。