年金改革、定年年齢の引き上げ検討へ

国家機関と民間企業で異なる2つの政策が併用されている中国の年金の一元化に向けた改革方案がこのほど確定され、国務院常務会議と中央政治局常務委員会で審議の上採択された。党・政府機関と事業機関は今後、企業と同じ基本養老保険制度を実施することになる。国務院の馬凱副総理は2014年12月23日、国務院を代表し、全国人民代表大会常務委員会に都市・農村の社会保障体系構築業務の推進状況に関する報告を行った。馬副総理が報告の中で述べた内容は以下の通り。

 

「二重制度」で年金受給額の差が突出

中国の社会保障体系は大まかに形成されたが、公平性に欠ける。党・政府機関と事業機関は依然として機関退職年金制度を実施しており、企業職員の年金制度とは異なる。受給される年金額の格差も際立っており、社会からも大きな反響が寄せられている。

今後は、党・政府機関と事業機関の養老保険制度改革を推進し、都市部の企業と同じ養老保険制度を確立する。

改革の基本的構想は、「1つの統一、5つの同時」だ。

「1つの統一」とは、党・政府機関と事業機関が企業と同様の統一された基本養老保険制度を確立することを指す。各国家機関および職員が保険料を納付するようにし、退職金の計算・支給方法を改革し、制度・メカニズム面から「二重制度」の矛盾を解決する。

「5つの同時」とは、党・政府機関と事業機関が同時に改革を進め、職業年金と基本養老保険制度を同時に設立、養老保険制度改革と賃金制度の改善を同時に推進、受給額の調整メカニズムと計算・支給方法の改革を同時に行い、全国で同時に改革を実施する――ことを指す。

 

退職政策:定年年齢の引き上げを検討へ

経済発展、住民の所得水準、物価変動、財政状況などに基づき、職員および都市・農村住民の基本養老保険の受給額を適時調整していく。また、納付額が多いほど受給額が増えるインセンティブ・メカニズムを受給額調整政策に組み込む。基本医療保険では、政府・企業・個人が合理的に分担する資金調達メカニズムを完備し、支払方式の改革を推進し、医療費の合理的かつ制御可能な増加を実現する。

人的資源の需給、教育水準、平均余命、基金の収支などの要素を総合的に考慮した上で、定年年齢の段階的な引き上げを検討し、基本養老保険の従属人口比率を改善していく。

 

社会保障基金:資金調達ルートを拡大、価値の増殖を実現

社会保障基金の調達ルートは依然として狭い。現在、各社会保険の納付率は高まり、財政投入も大幅に増加したが、高齢化のピークが接近する中、従属人口比率は高まり続け、医療費も上昇しており、社会保障基金の長期的な収支バランスが大きな圧力を受けている。資金調達ルートをより一層拡大する必要がある。今後は、基本養老保険基金の投資運営規則を制定し、基金の安全を確保するという前提の上で投資ルートを拡大し、価値の維持・増殖を実現、基金の支払能力を高めていく。