第10回中国国際アニメフェスティバルが、5月3日杭州で始まった。1日で延べ15万5000人の来場者があり、同アニメフェス始まって以来の最高来場者数を記録した。このアニメフェスは10年間で延べ1000万人を超える来場者を集めている。人気の背景には美しいファンタジーのアニメや、このアニメフェスの持つ毎回のグレードアップという開催ポリシーがある。中国アニメ産業が小から大へと発展してきた歩みは大きなヒントを与えてくれる。
アニメフェスティバルのスマーフたち
芸術と産業のリンク
香港の漫画家・黄玉郎は中国国際アニメフェスがついに世界最大規模で来場者も最大になった過程を見てきたが、「第1回目は香港など他のアニメフェスと比べてレベルが低かったが、2年目、3年目とレベルは高くなった」と語る。
また、国際アニメーションフィルム協会の秘書長は「中国国際アニメフェスはまだ若い展示会だが、活力に満ちており、特に素晴らしいのはアニメ産業とアニメ芸術がリンクしたことだ」とコメントしている。
2005年、中国国際アニメフェスは企画商談会、人材相談会、新作推薦会を開催し始めた。2010年には初めて国際アニメーションフィルム交易会に加入、中国の優秀なアニメーションフィルムを世界の舞台へと推し進める枠組を作った。2011年には中国名人漫画オークションを開催した。
中国国際アニメフェスはアニメ産業の成長を推進し、大きな成果を上げた。『熊出没之奪宝熊兵』は今回のフェスのアニメーションフィルム金賞「金猴賞」を受賞した。また、『The Dream of Jinsha』は中国アニメとして初めてアカデミー賞にノミネートされた。中国国際アニメフェスで評価された新鋭・劉冨源監督の初めてのアニメ映画が興行収入2億5000万元(約40億900万円)を上げるなど、中国アニメはまさに日の出の勢いだ。
量は多いが傑作は少ない
「中国アニメのグレードアップ」は、今回の中国国際アニメフェスのサミットのテーマである。アニメフェスのイノベーション、構造転換、グレードアップは中国アニメ産業全体のキーワードとなっている。
10年間の成長で、中国アニメ産業は構造転換、グレードアップの時期を迎えているが、一種の「困った現状」が発展を阻んでいる。多くの地方でアニメ産業を振興した結果、「数分間」のアニメが多くなり、高額の補助金やアニメの「海外進出」の奨励で「低価格販売」の印象を与えやすい、多くのアニメは見た目こそよくできているがストーリー性が弱い、などである。
中国広播影視出版社の社長でもある王衛平編集長は、初歩的段階にある中国アニメは産業規模、産業リンケージ展開、ニューメディアとの提携などの分野で多くの限界があり、「打てば響く」ような代表的作品やリーディングカンパニーはまだ登場していないと述べている。
最終的な競争力は価値観
価値観こそアニメ産業の最大の生産品である。いかに「絵筆とマウス」を使いこなすか、中国の伝統文化、革新的価値観をさらに発揚させるか。アニメ産業の発展が現段階に来た今、この命題はますます重要になっている。
「アニメ芸術は一筋の川のようなもので、文化と技術はこの川の両岸の堤防である」と、中国美術院の許江院長は言う。「文化と技術、伝統と現代の関係をうまく処理できてこそ、アニメという川は活力の満ちたものになる」。
「ムーラン」や「カンフーパンダ」はアメリカ人がアメリカ式の解釈と改造を加えたものであり、もし中国人が扱えば、人物造型、音楽、人間性の理解、観念の注入などすべて違ったものになるだろう。その背後には、文化の精神と価値観の輝きがある。
「アニメ作品は価値観の表現とは切り離せない」と杭州市共産党委員会副秘書長であり、宣伝部副部長でもある中国国際アニメフェスの董悦主任は話す。価値観はアニメの魂であり、アニメ作品を制作する思想的核心であり、社会主義の核心的な価値観を楽しみながら学べるという点が特に重要なのである。
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