養老保険の統一で都市も農村も平等に
「都市・農村住民の統一基本養老保険制度の設立に関する意見」 「都市農村養老保険制度連携暫定弁法」を公布

中国人力資源と社会保障部の胡暁義副部長は2月26日、国務院新聞弁公室の記者会見の席上、農民と都市住民の養老保険(日本の年金に相当)を合併させ、「4つの統一」、すなわち制度の名称、政策基準、管理サービス、情報システムを統一すると発表した。この措置は、人口の縦方向の流動を促進し、社会の安全感を強化し、また社会保障の改善に安定した期待をもってもらうのに役立ち、消費拡大、イノベーションの奨励に対して重要な意義をもつ。


全国の都市農村住民養老保険加入者総数は4億9800万人に 

 

最大の受益者は農民工

2月21日、国務院は『都市・農村住民の統一基本養老保険制度の設立に関する意見』を発表し、現行の新農村養老保険と都市住民社会養老保険制度の合併実施を決定した。

「都市と農村の住民の基本養老保険制度を統一することによる最大の受益者は都市と農村間を移動または転居する人びとで、もちろん農民工(出稼ぎ労働者)とその家族も含まれる」と胡暁義副部長は明らかにした。

中国人力資源と社会保障部は同時に『都市農村養老保険制度連携暫定弁法』を公布し、都市農村住民養老保険制度と都市労働者養老保険制度間にチャネルを設けるということは、異なる養老保険制度に加入していても累積計算されることになり、農民工にとってもいいニュースである。

 

保険料負担は12段階

都市農村住民養老保険は個人の保険料負担、集団補助、政府補助が結合された資金調達方式となる。胡暁義副部長によると、個人の保険料基準は今までの新農村養老保険と都市住民養老保険のそれぞれの基準から、統一されて毎年100元から2000元までの12段階へと調整される(新農村養老保険、都市住民養老保険はそれぞれ5段階と10段階の基準を設けていた)。

国務院が発表した『都市・農村住民の統一基本養老保険制度の設立に関する意見』では資金調達方式について明確に定めている。

集団補助については、条件に合致した社区(居住区)は集団補助を社区公益事業資金に納入し、その他の経済組織、公益団体、個人が納付する保険料を援助する。

政府は、養老保険を受け取れる条件に合致した加入者に対して基礎養老金(年金)を全額支給する。そのうち、中央政府は中西部地域に対して政府が確定した基礎養老金基準により全額を補助し、東部地域には50%の補助を行う。

最低レベルの基準保険料に対する政府の補助基準は1人当たり毎年30元(約497円)以上、高いレベルの基準保険料に対しては適当な補助を行う。500元以上の基準保険料に対しては1人当たり年間60元(約994円)以上を補助する。

 

権利の累積計算

保険加入者が保険料納付期間中に戸籍を移動したり、地域をまたぐ養老保険に関係する場合、国務院の「意見」では、転入先で養老保険の移動を申請できるものとし、個人が納付した額を移動でき、転入先の規定によって加入を継続し、保険料支払い期間は累積して計算されるとしている。

『都市・農村養老保険制度連携暫定弁法』では明確に、加入者が都市労働者養老保険の規定する定年退職年齢に達した後、都市農村住民養老保険制度につなげる手続きを申請することができ、都市労働者養老保険の加入期間が15年間(15年まで保険料を支払うことができる)あれば、都市農村住民養老保険から都市労働者養老保険に転入し相応の待遇を享受でき、もし15年未満の場合には都市労働者養老保険から都市農村住民養老保険に転入できると規定している。

このほか、加入者は都市農村住民養老保険から都市労働者養老保険に転入しても、その逆でも、個人の納付した保険料は全額本人とともに移動し、累積して計算される。

胡暁義副部長は、2013年の都市労働者養老保険の総収入は2兆2500億元(約37兆2965億円)に迫り、支出は約1兆8400億元(約30兆4993億円)で、4000億元(約6兆6303億円)の黒字となったことを明らかにした。