夫婦の収入比という話は少々食傷気味かもしれない。論理的にいえば、容貌や身長、年齢、学歴、職業、家庭環境などの比較にしても最高の「黄金比」を導き出せるというのだろうか。
収入比というと、夫婦双方の結婚時の収入のことだろうか。それとも結婚後10年後のそれぞれの収入のことだろうか。それとも定年時のそれぞれの収入のことだろうか。一つの動向としての金銭の比較が安定した構図を作り出すことは難しい。著名な映画監督・顧長衛は『孔雀』を撮影する前の5年間失業しており、家にいた。蒋?莉に養ってもらっていたのだ。しかし、夫妻は平然と対処し、冷静に過ごし、互いに持つ認めあう、尊敬の気持ちは少しも変わらなかった。
収入比1.5:1、これもあまりにも数字化された標準で、この程度にならなければ幸福になれないのだろうか。もし、逆になったらすべてがダメになるのか。結婚が一番盛り上がる話題である芸能界を見ると、安定していてお互いに尊敬しあっている夫婦といえば、李亜鵬と王菲だろう。人気、市場価値と資産からいえば、この夫婦は明らかに収入が逆転している。しかし、結婚が続いているだけでなく、娘の嫣兒と嫣然基金を見ても、芸能活動とチャリティー両方とも盛んにやっている。つまり、結局夫婦の間は収入比ではなく気持ちの比率だということだ。
まず、現実的な気持ちの比率だ。夫婦の間には多くの隔たりや違いがあるからこそ、結婚は補い合うものとなる。私は料理が得意で、あなたは洗濯が得意、私はグズであなたはせっかち。よく理解しあって、お互いに補い合う。結婚を決めるということは収入を全部持ち帰ること。その習慣や行為が好むと好まざるとにかかわらず、である。
次は穏やかな気持ちの比率。夫婦の家庭の物品に対する希望が、夫婦の相手の収入に対する希望となり、各自の心理的バランスを左右する。もし、もっと多くという目標しかなければ、誰がいくら稼いでもこの家庭の要求を満足させることはできないし、夫婦がお互いに楽しみの源とはならず、収入、消費や財産の支配権の大小だけを指向することになり、各自の両親に対する親孝行の損得勘定にまで広がっていく。これに対して、適度な成長、それほど高くない質素な目標を持ち、ゆとりを持って家庭生活の方針を決め、お互いに相手の収入が多ければ喜び、お互いに支出を譲り合えば、自然に財産権を争う必要もなくなる。
さらに、互いを尊敬する気持ちの比率。夫婦とは天下最大の事業であり、感情を営み、家庭を経営し、子弟をはぐくむパートナーである。お互いを尊敬することが最も重要な基礎であり、尊敬は性別、能力、収入を超越するものである。結婚後、財産が多くて横柄になり相手を蔑視するというのなら、尊敬する心はなく、金しかないということを物語っているのだ。
金の比較は容易だが、心の比較は難しい。夫婦双方の心が真実で、寛大で、和やかであれば、どちらが多く稼ぐかということは問題にならないだろう。
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