華人の「タイガー」式教育は両極端

子どもを出世させるため、「三代目で破産」という呪いを打ち破るため、タイガー式教育は華人の間で人気がある。先日、華人小説家のキム・ウォン・ケルトナーによる新刊『タイガーマザーの子どもたちの反撃』が出版されると、中国系の「タイガーファーザー」、「タイガーマザー」の間でまた大騒ぎとなった。

 

タイガー式教育への反乱

エール大学法学部の中国系米国人のエミイ・チュア教授は有名な「タイガーマザー」だ。子女をいかに教育するか、チュア教授は非情なやり方をすべきだと言う。子どもを「ゴミ」扱いする、全部の科目で「A」をとらなければテレビを見せない、ピアノの練習がうまくいかなければご飯を食べさせないなどが、チュア教授の秘訣である。

中国系イギリス人の「タイガーファーザー」である瑞安氏の、子どもに対する厳しさはチュア教授に負けていない。彼は8歳の娘に毎日放課後にはピアノとバイオリンを2時間練習させ、さらに勉強を2時間させる。日曜日には中国語の勉強も加わる。

タイガー式教育は役立つのか。答えは肯定的だといえよう。チュア教授の18歳の娘はハーバードとエール大学に合格し、瑞安氏の娘はバイオリンが上手だ。

外から見ると、「タイガーファーザー」、「タイガーマザー」の成果は輝いている。しかし、俗に「靴が合っているかどうかは足だけが知っている」と言う。このような偉大な成果について、「タイガーファーザー」、「タイガーマザー」たち自身はどのように言っているのか。

タイガー式教育によって、チュア教授の長女は頭角を現した。しかし、次女は強硬な教育に反抗し、ついに長い髪をはさみでばっさり切ってしまい、チュア教授に向かって「あなたを恨む、あなたはいやなお母さんで、楽しい気持ちにさせてくれない」と怒鳴ったという。次女を失うことを恐れたチュア教授は、最終的につらい譲歩をし、次女がバイオリンを捨ててテニスを選ぶことを許した。

 

タイガー式教育の功罪

「タイガーファーザー」の瑞安氏は、タイガー式教育の結果は両極端だという。もし成功すればみな喜ぶが、失敗すれば逆方向に向かい、親子関係の断絶を招く。

事実、タイガー式教育の積極的な効果は疑問視されている。米国の教育学者は300以上の中国系アメリカ人家族に10年間にわたる長期調査を実施したが、その結果、「サポート型」の両親の子どもの成績に比べ、タイガー式教育を受けた子どもたちの成績のほうが悪かった。またタイガー式教育を受けた場合、家族との疎遠による子どもたちの情緒的問題が多く、うつ傾向やストレスレベルも高かった。

専門家は、学業と音楽の才能を遊ぶことや楽しみよりも重視することが、中国系の人々に共通する「病」であるとする。実は厳しいタイガー式教育と自由を大切にする西洋式教育の間でバランスをとることもできる。楽しみながら学ぶことが、華人の教育が「閉鎖的な空間」から出ていくことの道案内となる。もちろんいかなる文化でも、愛に満ちた温かい家庭環境のもとで子どもに期待し願望を表すのであり、これこそ華人の教育に必要なものである。