ジェット・リー氏の「みんなでチャリティー」の夢

中国のアクションスターのジェット・リー(本名:李連傑、リー・リンチェイ)氏は全国武術大会で連続5回優勝した武術家である。『投名状(日本名:男たちの誓い)』での素晴らしい演技により、香港で映画金像賞を受賞したトップスターである。現在、慈善活動に力を注ぎ「壹基金(ワン基金)」という中国初の民間公募基金を設立した。第5回グローバル・モバイルインターネット大会(GMIC)に参加した5月7日の夜、取材に応じてくれた。

「みんなでチャリティー」

なぜチャリティー活動を始めたのかと聞くと、2004年のスマトラ沖大地震による津波で、リー氏と家族は首まで海水につかり、死ぬ思いをしたことがきっかけとなったと語った。

翌05年、東南アジアの津波被災者救済のための『愛に国境はない』の公演会場で、1人が1ヵ月に1元の精神で「ワン基金」を設立し、人類の愛を伝えていこうとリー氏は決心する。「ワン基金」を立ち上げるために誰にでも呼びかけた。「メールで1元送ってくれるように親戚や知人に伝えてほしい」と何回も声をかけた。

2007年、北京で『李連傑ワン基金計画』を発表した。その3年後に、深?でワン基金公益基金会を登記して中国で初の民間基金組織となった。雅安地震の発生後、リー氏はブログで義捐金を呼びかけた。そして、5月6日までに297万人から合計2億5889万元(約41億6000万円)が集まった。「297万人という人数に感動しました」とリー氏は興奮ぎみに話す。

 

“透明”な基金をつくる

ワン基金を維持していくために、リー氏は1人が1元という方法で、「みんなでチャリティー」を提起しているが、“透明”な基金でなければならない。そのために、寄付金は招商銀行による委託管理、KPMG華震で記帳、デロイト深?所で監査を行っている。同時に、公式ウェブサイト上で四半期ごとに財務報告書を、年末には1年間の財務報告書を公表し、1つの項目にいくら使ったかという細かい点まで明らかにしている。

 

チャリティーは一種の信仰

「チャリティーで金もうけ」という疑いに対しては、リー氏はあまり意に介していないようだ。「考えをすべて分かってもらえるのは不可能なことで、理解してもらってから行動するのは難しいことです」。この淡々と語った言葉の裏には、この7年間の努力と苦労がこもっている。

2008年、?川地震の5日後にリー氏は被災地を訪れている。3トン余りの救援物資と、50万人以上からの義捐金、2つのボランティアグループを率いて、テントを運んで復興に駆けつけた。

2010年、玉樹地震発生後に、リー氏は車10台分、数百万元分の物資と、100人以上の救援隊を率いて青海に入った。テントに5人で寝て、ほとんどインスタントラーメンばかりを食べていた。海抜4200m以上の高原で、50歳に近い年で高山病の辛い症状に悩まされながら、2日半を過ごした。

「やりたくてやっている事で、生活の一部です」。リー氏の言葉はチャリティー活動に取り組んできた無数の人々の心の声でもある。リー氏とワン基金は人々の信頼を得て、ますます注目されている。