近ごろ、著名な映画スターであるジャッキー・チェン氏が、古建築をシンガポールに寄贈すると発表した。ジャッキー・チェン氏の態度表明は、中国国民に、歴史ある建築物の保護に対する意識を喚起させている。
ジャッキー・チェンの熱い想い
「私ももう60歳です。早く寄贈しておかなければ、いついなくなるかわかりませんし、古建築は廃棄処分されてしまいます。生きているうちに、すべて寄贈しようと思いました」とジャッキー・チェン氏は想いを訴えた。4月4日、氏は中国語版ツイッター“ウェイボー”で10分間に4度ツィートし、所有する安徽様式10棟のうち4棟をシンガポールの科技設計大学に寄贈すると発表し、ネットユーザーの間で物議を醸した。
1カ月後、6棟を北京に移築し、そこに“ジャッキー・チェン平和公園”を造り、環境保護・文化一体型の施設にしたいと表明した。さらに他の2棟を上海に移築し、2棟は香港に留め置くと述べた。氏の所有する古建築のほとんどが8間から成る明清時代の古民家や舞台で、200年から400年の歴史を有する。20年前、故郷に戻って暮らしたいという父のために、友人の紹介で古い家屋を買い取り修繕したのがきっかけで、次々と十数棟の古建築を買い取ったのだという。これらの修繕に氏はすでに数千万元を投じている。
シンガポールの熱心さと専門性
古建築をなぜシンガポールに寄贈するかについて、氏は「シンガポールでは優れた技術によって、1棟1棟の緻密な模型と3Dパターンを制作し、宝を扱うが如く、細部にまで気を配ってくださった」と説明した。正に、シンガポール側のこうした文物保護に対する熱心さと専門性が、氏を古建築の海外寄贈へと駆り立てたのである。
また、シンガポール政府は、古建築保護のために『古跡保存法令』、『計画法令』を制定している。「1本1本の材木にまで記号を付け、どのように管理するか、壊れた時はどう修理するかなど、完璧な体制を整えています」と、息子のジェイシーも父と同じく称賛の声を寄せている。
古建築の移築によって高まる関心
「壊すものは壊し、売るものは売るで、現存する古い街並みが少なくなりました」と、ジャッキー・チェン氏は古建築寄贈の重要性を認識する。「私の行動によって中国国民の関心が高まり、より多くの人に文物保護の意識を高めてもらえるよう、古建築保護の象徴的存在になりたい」と意欲を語る。
中国国内の古建築保護の現状は楽観視できない。初期の四合院、唐代の著名な高僧玄奘法師の遺骨が埋葬されている西安の興教寺、河南省の孫欽昴・孫綜源の故居など、国内で数多くの古建築が取り壊しの脅威に晒されている。
現在の中国の古建築保護の問題について、中国人民大学の唐克揚副教授は語る。「古建築の移築は理論上は提唱すべきではありませんが、一流の博物館や文化機構が介入し、合理的な研究や公共展示を行うことでモデルケースとなります。また、古建築保護に対する人々の関心を喚起し、古建築の背後にある、この国でまだあまり光が当たっていない家族史や地域文化等に関心を向けさせる働きも期待できます」。
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