中国の飲料水は安全か

いま、水質の向上と水質情報の公開は大きな社会的要請となっている。「水聯網」(すいれんもう)というコンセプトに、多くの専門家や業界関係者から大きな期待が寄せられている。

水質情報公開をサポート

「濁度、現在の数値00.20、国家基準≦1.00。残留塩素、現在の数値00.25、国家基準≧0.05。pH値、現在の数値07.82、国家基準6.5-8.5。管内圧力、現在の数値00.26、国家基準≧0.22」

これは、山東省東営市のある地区のネット上の水質情報だ。同市の水道会社が水道管網に水質検査ステーションを建設し、集めたデータをリアルタイムで地区の掲示板に発表する。また無線データ輸送システムを通じて、水道会社の調整センターに転送する。これが「水聯網」である。

中国工程院院士で、中国社会科学院生体環境研究センターの曲久輝主任は「『水聯網』を通じた水質情報の公開は、人手がかからない、系統的なデータの公開という点で、価値ある試みです」と語る。

安恒環境科技(北京)株式会社の万衆華総経理は「『水聯網』が提供する情報は単なる指標にとどまらず、水源探知システムが完成すれば、消費者は一滴ごとの水源地、処理過程、送水管などの全方位の情報を知ることができる」と期待している。

清華大学環境学院の張暁健教授は、「ミネラルウォーターなどの水製品は情報公開のチャンネルが足りず、往々にして問題が発生してから情報を出している。。『水聯網』は全国的な水製品の情報公開拠点の構築が可能で、企業にも積極的に情報を公開させればよい」と述べる。

 

水管理体系の改革

水の浄化過程で、凝固剤を投与して雑物を沈殿させる。以前は凝固剤をどれくらい投与するか、担当者は経験だけに頼っていたが、寧夏の銀川工業団地では、「水聯網」の運用開始によってこうした部分が改善された。

万衆華総経理は「『水聯網』は水中の汚染物質をリアルタイムで観測することにより、正確に凝固剤の投与量を計算できる」とし、「水聯網」の本質は水質管理のイノベーションにあると言う。

張暁健教授も「水聯網」の水質管理における価値に注目している。張教授は「水源に対する浄化を行うべきで、水源の水質の特徴を探知し、的確にサンプルを採取する必要がある。これまでの通常規定では水質検査は1カ月から1年に一度と義務付けられていたが、これほど間隔が空くと水質が変化してしまう。『水聯網』のオンライン検査技術によって、リアルタイムで水質が分かり、最大限に水質の安全を保証することができる」としている。

 

〈 水聯網〉

「水聯網」とは、簡単に言うと「物聯網」(インフラに受容器を埋め込んでインターネットに接続し識別・管理を行うネットワークのこと)を水の管理システムに特化したものである。それは、認識の知的共有であり、観測によるコントロールや、シミュレーションを行うことができる。精密化、デジタル化による管理によって水質を向上させるものである。