内部告発者は実名で?

「もし汚職の情報をつかんだら、あなたは実名で通報しますか?」最近、『中国青年報』が緊急調査を行った。その結果、多くの人が実名での通報に疑念を抱いており、実名で通報すると答えたのは、わずか15.8%であった。

内部告発者の保護が優先

調査によると78.8%の人が内部告発者に対する保護制度を法的に確立することが急務だと考えており、53.4%が「内部告発者に対する報復などの犯罪行為を厳重に罰する」よう希望し、51.2%が「内部告発者の親族も同様に保護されるべきだ」と望んでいる。

現在、多くの国や地域では内部告発者の保護に関して専門の法律があり、違反した者に対する処罰も厳格だ。例えば香港では廉政公署(ICAC:1974年に発足した香港の汚職捜査機関)の管轄の下、香港全体で8つの分区の事務所が24時間体制で通報を受け付けており、匿名の通報を受けた後、48時間以内に係員が内部告発者に連絡する、あるいは内部告発者と面会することになっている。内部告発者は香港の法律に基づいて証人として扱われ、『証人保護条例』によって厳格に保護される。

米国と中国の保護法令

米国の各州では証人に対する報復を犯罪と見なし、最高刑は死刑になることもある。目に見えない仕返しを防止するため、米国の連邦政府は専門的な「公務員制度保護委員会」を設け、仕返しを受けた個人が直接委員会に提訴できるようにするとともに、内部告発者に対して連邦政府内の他の部署への配置転換などの一定の権利と優先権を与えている。

中国にも内部告発者の保護に関する法律はある。例えば最高人民検察院が1991年に制定した「国民の通報する権利の保護に関する規定」、また「刑法」などの中にも、内部告発者の保護に関する条文がある。しかし、こうした保護のための法律は十分系統化されておらず、保護に関する措置が多くの規定に分散していて体系を成していないことが法律の権威に影響を与えている。

内部告発文化の発展が重要

中国の現行の法律では、仕返しをした者に対する処罰も十分重いものとはいえない。刑法では、報復陥害(報復して被害を与える)罪、打撃報復証人罪で状況が深刻なものについての最高刑が7年となっており、また最高人民検察院の「職務怠慢・権利侵害罪の立件に関する規定」は「深刻な状況」を「内部告発者あるいはその身近な親族の自殺、自傷による重症、死亡、あるいは心神喪失に至った場合」としている。通報された側の一部が恥知らずにも内部告発者に仕返しするというのは、こうした厳罰が欠けていることと無関係ではない。

反汚職の新たな状況に適応するために、内部告発者保護の専門的で権威のある法律の登場が求められており、憲法条文の具体化が必要だ。

例えば、統一的な通報受付組織を設け、内部告発者の各種情報を厳重に保護し、きわめて限られた特定の人間を除いては、いかなる人間も触れられないようにする。または保護されている人間に対して報復行為をはたらく者に対しては厳罰を課し、いささかも容赦しないことによって、簡単には内部告発者に手を出せないようにする。

さらに重要なことは、これらの専門的で権威のある法律が内部告発の文化に対する畏敬の念を高め、内部告発者が法的に尊重され、内部告発文化を健全で安定的に発展させることだ。