“公金での飲み食い”“贈答ブーム”にブレーキ

春節間近となり“倹約励行、浪費反対”規定が効力を発揮し、公金の浪費や贈答の悪習にブレーキがかかった。では“倹約の風潮”に対する庶民の反応はどうなのだろう?

贈答は下火広告にはブレーキ

「今年のお歳暮は明らかに少ないよ。地方からの車も走ってないし、各地の特産品を載せたトラックも見かけないね」。北京市西城区月壇南街の新聞販売店の陳さんが身をのり出して言った。

陳さんの話では、月雲南街には多くの国家機関が集中しているが、交通の中心地ではない。普段から車は少なく道は混んでいない。ただ、連休前になると地方のナンバープレートをつけた車が増えてこの通りは混み始めるのだという。今、倹約キャンペーンによって、この通りは元の姿に戻った。

静かなのはこの通りだけではない。長安街、金融街も地方からの車は少ない。人や車の往来は減り、贈答ブームは明らかに下火になった。

陳さんは今年61歳。新聞販売店を長く守ってきた。彼は感慨深げに言う。「我々庶民はこの新しい風潮を歓迎するよ」。彼は、この倹約の風潮を一過性のものに終わらせず、終始一貫して、やり抜いてもらいたいと言う。

同時に“倹約の風潮”はテレビスクリーンにも。近ごろ、国家広播電影電視総局は『テレビ放送における“贈り物”広告の自粛通知』を出し、各ラジオ放送局・テレビ局に、直ちに誇大な“贈り物”のCMを削除するよう要求した。

調べてみると、以前は春節の時期、テレビで次から次へと流されていた贈答品や白酒のCMが、今年は明らかに減った。江西省吉安市に住む焦おばあさんは、「このごろ贈答品の広告が少なくなって、うるさくなくなった」と喜ぶ。

 

タバコ・酒の価格が暴落

北京市西城区月壇南街と三里河東路には“タバコ・酒買い取ります”という看板を掲げる店が多い。店に入って聞くと店主たちの答えはほぼ同じだ。価格が大幅に下がって今年は儲からない。買い取っても売れないので買い取りたくないのだという。

月壇南街のタバコ・酒店の店主は言う。「今年の飛天茅台酒の買い取り価格は700元(約1万500円)にも満たない。去年とは比べものにならない。去年は1瓶1600元(約2万4000円)余りもしたのに。この酒を付けても売れない。もし欲しいなら1100元(約1万6500円)でいいよ。去年は2000元(約3万円)でも奪い合って買ってたよ」。

同時に、高級タバコも値が下がり売り上げが落ちた。別のタバコ・酒買い取り店の店主、王さんも言う。「今年は木箱とかに入った高級タバコは、最高で40%も値が下がって売れないよ」。

原因は彼らもわかっている。「今、中央政府は派手な浪費を禁じて、茅台酒のような高級酒を飲んだり、高級タバコを吸ったりできないからね」。彼らは年明けに転機が訪れることを期待している。「今は政府がしっかり取り締まってるけど、春節明けには少し値が戻るかもしれない」。

 

忘年会のスリム化宴会の減少

1月14日午後、北京市のある中央企業本社に勤務する馮さんは、ブログサイトの「微博」を開くや同僚たちの“ツッコミ”を目にした。「忘年会は外部会場じゃなくて社内でやるってよ」。この緊急通知には馮さんも同僚たちも少しがっかりした。もともと昌平区にある某ホテルでやる予定だった忘年会は、社内の講堂に変更され、時間も2日が1日に短縮された。午前中に仕事を終え、午後に出し物があり、昼食は食堂で各自とる。

馮さんも同僚たちもがっかりはしたが意外ではなかった。事前に多くの企業が忘年会を中止したと聞いていたからだ。彼らの会社では中止にこそならなかったが大きく縮小された。「外で2日間楽しめると思っていたのにつまらない」と落胆する同僚もいた。

企業の忘年会の自粛は、ホテルの営業担当者も悩ませている。北京市朝陽区にある某ホテルの営業部長の王さんは苦しい胸の内を明かす。王さんによると、例年だと年末には1日に10数組の接待や忘年会が入っていたが、今年は本当に少なく、家族客が主流だという。彼女の知るところでは、ビジネス接待に頼っている同業者の大半が不況だという。

業界内で起こっている、こういった変化に対して、北京市で飲食業を営む同業者は言う。「短期的に見ると、食の浪費の抑制は飲食業界に痛みをもたらすかもしれないが、長期的に見ると悪いことではない。消費者層の変化は飲食業界の再構築を促し、これまでの公金消費への依存体質を変える。この動向はすべての公金消費に頼っていた経営者の教訓となるし、政策の緩和に期待するものではない」と。