海外の教師が少ないうえに、中国語教師の転職も多い
なぜ中国語教師が海外で教員になるのが難しいのか

『欧州タイムズ』イギリス版によると、イギリスの教育部は教学要綱を改正する予定だ。2014年から中国語を含む数カ国の外国語をイギリスの小学3年生から必修科目にするという。この発表はイギリスの中国語教育界で話題になり、中国語教師に主流の学校への道が開けると期待が寄せられている。しかし、中国国内の中国語教育専門家は、海外での中国語教師の需要に対応するには、まだ十分な準備ができていないと考えている。

就職口が狭く情報も少ない

国際漢語教会(ICA)の2011年の調査によれば、中国には約300の大学で外国人に教える中国語教師の専攻が設けられ、毎年1万5000人が入学する。しかし、中国語教師になるのは、そのうちの10%だけである。

中国語教師専攻の卒業生の話を聞いた。「国がわたしたちを育ててくれて、中国語教師としての知識や実践もあり、この仕事が好きです。ですが、専門を活かせる仕事はなかなか見つかりません。地方では専門と関係ない仕事ばかりです。大都市に行っても大学などではみつからず、研修センターのようなところでしか働けません。収入も都会で生活できるほど高くなく、他の仕事を探すのも仕方ないことなのです」。

山東大学の張暁曼教授はこう話している。「中国語教師専攻の卒業生の仕事がないわけではありません。韓国とか日本の小学校、中学校では中国語教師を必要としています。中国語教師専攻を卒業していても大丈夫だと思います。ただ、就職活動の情報が少なく、雇用と求職の情報交換があまりないことに問題があります」。

今年5月に教育部が対策を導入して、大卒者、大学院生に「国際中国語教師の希望者計画」への参加を奨励した。学部卒業生が海外で中国語を教えるなら、最初の大学院入試のテストに10点が加算され、同等の条件ならば優先的に大学院に入学できる。大学卒業生が卒業後すぐにこの計画に参加して、1年以内ならば、新卒の学部卒業生と同じ待遇が受けられるというものである。これに対して、タイで教えたことがある張??さんは「教育部の対策は、10点をプラスすることが明確な以外は、あまりにも漠然としていて、どうやって判断するのか、明確な基準がありません。国で募集する中国語教師の定員も少ないし、国外での任期は最長でも3年で、帰国してからまた新しい仕事を探さなければなりません。学部生や大学院生のための情報交換の場所があればいいですね」と話している。

教員養成は実践不足

国外での需要が高まっているが、中国語教師専攻の学生は卒業後、専門外の仕事に就いてしまう。海外で中国語教師をしたことのある人がネットに次のような書き込みをしている。「大学4年生の時は基本的に教室での授業で、中国文学専攻の授業と変わりがないように思いました。韓国へ行ってから、中国語を話せるから、中国語を教えられるとはかぎらないことに気がつきました。私は海外で実践的な体験をすることができましたが、こういう体験は大学4年生の時にするべきだと思いました」。語学の知識が十分で第二外国語のレベルが高くても、授業での教学体験の不足が、中国語教師が海外で教えることの制約になっている。

この問題について、北京語言大学の楊惠元教授は次のように語った。「いまの情況は理論的な研究が実用的なことより多いのです。しかし、中国語教師の専攻は実用性が高い学科なので、中国語教師養成のレベルを向上させるには、理論と実践をいっしょに研究していかなければなりません。語学の研究も必要ですが、学校では実践的な授業、第二外国語の応用能力なども不可欠なことです」。

異文化コミュニケーションの伝達能力を向上

こうしたこと以外に、中国語教師の素質の向上も望まれる。つねに自分自身を豊かにし、向上させて、異文化コミュニケーションの伝達能力を高めなければならない。どうしたら現地の文化になじめるのか、北京大学対外漢語教育学院副院長の劉元満教授はこう考えている。「外国人に教える中国語教師は何でもうまくこなして、さまざまな環境や学生に対応しなければなりません。外国人のための中国語教師を目指す人は自分を外国人と思わずに、母国語のように現地の言葉を使えるように努力しなければなりません。そうすれば、教学の面でも、学生やその家族との交流面でもうまくいくでしょう」。

つまり、中国語を世界に推進していくために、中国語教師の質を改善していくには、語学を上手に教えるだけでなく、教師自身も素質を高めて、それぞれの大学の情況に基づき、教学内容を調整していく必要がある。また、政府や関連部門が雇用情報の交流を広げて、運用しやすい政策を奨励し、中国人教師の権威ある基準を打ち出すべきである。そして、多くの若い人たちに中国語国際推進事業に参加してもらうことだ。