科学的制度設計に草の根レベルの「革新」が力に
中国の新医療改革

新医療改革方案――確定、通過までに3年

新医療改革方案(方案=方法についての考え)は調査研究、起草から確定、通過までに3年の醸成期間を経ている。

中国衛生部弁公庁の侯岩主任は、新医療改革方案については起草から確定、通過までに政治局での集団学習を1回、国務院常務委員会での会議を3回、政治局常務委員会での会議を1回行っており、「基本理念、基本原則、基本的な道筋は党中央、国務院の直接指導によって完成した」と述べている。

衛生部、財政部、人力資源社会保障部、国家食品薬品監督管理局の4部門は2006年7月から中国の医療改革の重点と解決課題について専門的な調査研究を行ってきた。

その後、国務院は各省・区・市、各階層、各業界および社会団体などのそれぞれに対し広くヒアリングを行った。「座談会の回数は数えきれない。そのうち、国務院自身が主宰した会議だけで5~6回はある」と侯岩主任は語っている。

新医療改革方案はまた、初めて「国外の知恵を導入」し、国外の商業コンサルティング機関を政策設計に参画させた。中国国家発展改革委員会の委託で世界銀行、マッキンゼー•アンド•カンパニー、北京大学、復旦大学など、内外9つの機関が参画し、それぞれが新医療改革方案に対する独立した研究を行ったのだ。

 医療改革弁公室への意見や提案を基に草案を大幅修正

新医療改革の制度設計上のハイライトは民意を十分尊重し、民間の知恵を吸収している点だ。

国家医療改革弁公室は『医療薬品衛生体制改革の深化についてのQ&A』を編纂した。さらに『医療改革と私』という絵入りの解説冊子を出版して、わかりやすいイラストを加えた40問の簡潔なQ&Aを通じて、一般大衆に新医療改革方案を紹介宣伝した。

その後、社会のさまざまな分野でメール、ファックス、郵便が飛び交った結果、国家医療改革弁公室に届いた意見、提案は3万5929件にも上る。これらの提案を基に、草案は最終的に190カ所以上にわたって大幅な修正が施された。

国家医療改革弁公室の孫志主任は、「新医療改革方案は制度設計にあたって地方の先駆的な精神を十分に重視している」と語っている。一部の地方での基礎医療衛生機関の総合改革、医療保険の負担方法改革などの実践的な革新はどれもが真剣に総括され、全国に推奨されている。現場での試行と実践に基づいて多くの付属文章もつくられている。

例えば、安徽省では全国で初めて基礎医療機関での薬品加算を中止し、差額ゼロを実施した。この目標を具体的に実現させるため、安徽省では基礎医療機関の公益性保障制度、規範化された薬品の入札仕入れ制度や競争原理による雇用制度など一連の補完政策を設けている。安徽省の試みは新医療改革方案の全面推進に重要な意義を持っている。

3年に及ぶ医療改革の過程で「安徽省モデル」と類似した制度革新は枚挙に暇がない。陝西省の「神木モデル」、江蘇省の「鎮江モデル」、湖南省の「桑植モデル」「藍山モデル」などがそれで、中でも陝西省の「子長モデル」は特筆すべきだ。

陝西省子長県公立病院では「病院が薬で儲ける」仕組みを改めた結果、患者の負担が減り、医療関係者の積極性も高まった。子長県の経験は『第12次五カ年計画』において「病院が薬で儲ける」仕組みを全面的に改善する上で格好の事例を提供している。

衛生部の党組織の張茅書記は「北京での研究段階では、この問題は非常に複雑で、断ち切ることが難しいと思っていましたが、地方の試みが私たちの構想に道を拓いてくれたのです」と語っている。

「中国モデル」の実行可能性を証明

13億の国民の健康、福祉に関係する重大な公共政策として、この3年間の新医療改革方案が順調に進展して来た背景には、「中国モデル」の強大な実行力が体現されたことがある。

北京大学中国経済研究センターの李玲副主任は「中国の新医療改革方案の運営推進の仕組みは、同様に医療改革を進めている他の国とは異なっています。外国の同分野の専門家と交流すると、彼らが最も感心するのは中国の医療改革の効率の良さと実行力の大きさです」と、新医療改革の運営の仕組みが実際には中国的な特徴を備えた社会改革のオペレーションの道筋であったと語っている。

3年に及ぶ医療改革での成功経験は「中国モデル」の実現可能性を十分に証明しており、このモデルは単に医療改革に適用できるだけでなく、今後のその他の分野における改革にも有益であることを示していると言えるだろう。

(新華社北京8月3日電より)