「同志」「先生」――相手をどう呼ぶか

同志

 新中国成立後には「同志」という呼び方が使われたが、昔の中国の「先生」、「老爺(旦那さん)」と比べると、平等で親しげな感じを受ける。しかし、その頃は社会の階層を分けなかったので、老若男女を問わず「同志」が使われた。

今ではこの呼び方は適さなくなった。しかし、「同志」という呼び名は社会的な影響力が強く、国家公務員や軍人にはこの呼び方が主流となっている。

 

先生

 「先生」は「同志」と比べると、政治色が弱まり、成年男子に対する礼儀ある呼び名といえる。あまり親しくないか、親しくなったばかりの知識層に適している。労働者にはめったに使わない。

実際に、「同志」と呼ぶような関係ではないが、少し尊敬の気持ちを表したい場合、「先生」は適切である。

 

老師

 「老師(先生)」を使う範囲は相当に広い。一般的に教師、年長者等を尊敬して呼ぶ。現在では知識人だけでなく、若い人や学識の乏しい人が、年長者や学識の深い人に、よく用いている。

「老師」は尊重と親しみを含み、「先生」に比べて互いの距離感が近い。「老師」と呼ぶ時は、自分は学生のような身分で、相手への敬意が表れる。キャリアを有した人は、男女を問わず、「老師」と呼ばれる。

 

 「師傅」はもともと師匠や親方のことを指すが、今は広く一般に運転手や工場労働者、さまざまな業種の技能を持つ人を指す。

師傅と呼ぶ場合、自分は弟子のような立場であり、相手を尊重している。現在は尊称として広く用いられ、公共の場や街中で中年以上の男性に声をかける時にも、この呼び方は丁寧で良い。

 

老板

 この呼び名はビジネスにおいて、人々の富への追求や経済分野での成功者に対して敬意を表している。しかし、大学院の指導教官、科学研究機関や政党・政府機関の人に「老板(ボス)」と呼ぶのは適当でない。

 

女性の呼び名

 「小姐(お嬢さん)」は、昔の中国では大家のお嬢様という意味で、新中国の初期、「ブルジョア」といっしょに排斥された。改革開放以降、「先生」と同じようにまた使われだし、若い女性を指す。

しかし、「三陪(ホステス)」などの特殊な「小姐」が出現し、この呼び名は蔑視されるようになり、サービス業の女性を「小姐」と呼べなくなっている。

北京の公共交通機関では、運転手や乗務員が若い女性の乗客を「小姐」と呼んではいけないと規定している。