中国アニメーションの発展

● 2010年のアニメーション産業の総売上額が470億元を突破
● 中国アニメーションの生産数は日本を抜いて世界一に
● 「アニメーション文化」は国家の「ソフトパワー」の重要要素
● 国内に47のアニメーション生産基地、1万2000のアニメ企業

「ウサギ村の赤いキツネ」は今年「中国映画華表賞」を受賞後、三維アニメ創作のアニメーション映画の代表として「パリ中国映画祭」に出品された。この子ギツネは中国科学院自動化研究所の科学芸術研究センターで誕生した。三維はバイオニクス、動力学を組み合わせ、コストを海外相場の10分の1に抑えた。その第1期作品は、海外での著作権が150万米ドルを超える高額で取引された。

 2004年の29本、2万1819分から、2010年には385本、22万529分となった。中国のアニメ映画の制作は、年々増えている。「中国アニメーション産業発展報告2011」によれば、中国はアメリカ、日本、韓国などを抜いて、世界一のアニメ生産大国となった。

 11月13日、「鳥の巣(=北京オリンピックが行われた国家体育場)」の隣にある北京国家会議センターで「??有神アニメ展」が再び開かれた。内モンゴル自治区フフホト市の「草原豆思」が初の「草原アニメ」としての企業となった。9月14日、青島に建てられた北京電影学院現代創意メディア学院に第一期の新入生が入学した。北京、青島、フフホトなどのアニメーション産業は文化創意産業の中心となっている。

 

導入し消化し創作し、アニメ教育産業のランクアップ

 アニメーション産業のめざましい発展は、アニメ教育機関、アニメ関連の人材を増加させた。全国で1200以上の大学や専門学校でアニメーション学科が開設され、1900に近い大学でアニメ関連の課程が設けられ、アニメ関連の卒業生が万単位で社会に巣だっている。

 「『アバター』のようなスーパー3D映画の制作でも、はるばると海を渡る必要はない。ここで充分ですよ」と青島の海辺にある北京電影学院現代創意メディア学院の馬永生理事長は自信満々に語った。この大学は1億2000万元を投じて、海外の進んだ3Dアニメーション制作設備を導入した。現在、「ロード・オブ・ザ・リング」、「トランスフォーマー」、「アバター」など有名な作品で知られるニュージーランドの3D映画製作所と提携を結んでいる。

 中国のアニメーション産業は生産量、作品のクオリティ、技術レベル、放映効果、科学教育研究、経営などの面で著しく発展している。2010年のアニメ産業の総売上額は470億4000万元で、前年より27.9%増加している。

 

アニメ産業は模倣から脱出

 初期の中国アニメは、芸術的にも、社会的影響という面でも、大きな成功を収めた。「牧笛」、「孫悟空」、「オタマジャクシがママをさがす」などの古典的な国産アニメは、放映されると世界中を沸き立たせた。2011年は「草原豆思」シリーズが、第3回中国西部文化産業博覧会のアニメ大会で特別栄誉賞を受賞した。その後、制作サイドはこの作品の関連商品の販売など、産業としてプロジェクトを組んだ。

 中国アニメも時代とともに変化し、テーマを中心に扱うようになった。アニメとマンガは、書籍、テレビ、ビデオなどさまざまなツールを媒介して普及している。そして、関連するコスチューム、おもちゃ、ゲームなどのアニメーション産業を形成している。

 現在、中国には47のアニメーション産業の基地があり、1万2000以上のアニメ企業がある。複合型産業として、アニメ企業は創作から販売までのすべてを行い、利益をつくりだす。内モンゴル草原豆思動画産業投資股?有限公司の劉濤理事長は、「『草原豆思』のおもちゃや工芸品などがよく売れています。国内初のアニメホテルも、まもなく開業します。アニメ遊園地とアニメ観光村のプロジェクトも始まりました。草原アニメの関連商品の開発を通して、内モンゴルでアニメ産業を複合的に発展させていきたいと考えています」と語った。

 

中国のアニメ文化は飛躍的に発展

 この数年、北京でさまざまなアニメ展覧会が開かれている。「??有神アニメ展」の会場は、第1回目は400㎡だったが、今年は6000㎡と15倍の規模となった。今後、さらに規模を拡大する予定だ。

 「アニメ展は業界の展示会である。出展側は市場の需要を知ることができ、消費者に合った製品をつくることができる。アニメ展は多くの業者が参加するものでなければならない。制作、著作権売買などの関連業種の代表も参加してこそ、相応の規模で、成熟した展覧会としての役割を果たす」と、アニメ展の主催者は強調する。

 中国の悠久の歴史と深遠な文化のなかから、中国アニメの潜在力を掘り起こすことは、未来の中国アニメーション産業の発展にとって重要である。「豆思」はモンゴル語の「ウンドシ」からきた言葉で、「ルーツ」という意味だ。草原豆思は自己の使命を確立させた。つまり、草原アニメは、中国を「世界の工場」から「世界の頭脳」へ発展させたのだ。 

 「一流の設備と教師陣で一流の人材群を養成し、映像産業の発展を促し、中国のアニメ映画産業を進歩させる」。これは馬永生理事長らだけでなく、中国アニメ関係者の目標といえる。