インスタント麺の値上げと人気に陰りの理由

 

原材料価格の高騰が続くことから、食品メーカーが相次いでインスタントラーメンの値上げを発表している。

 

中国での値上げは11年ぶり

日本のインスタント食品大手で、インスタントラーメンの「元祖」などと呼ばれる日清食品はこのほど、2022年3月1日から主力商品の中国大陸部での出荷価格を引き上げると発表した。

カップヌードル(中国名・合味道)、出前一丁(袋麺、カップ麺)、日清意麺(パスタのカップ麺)、ラ王などの商品が影響を受ける。

日清食品の前には、昨年8月に辛ラーメンをはじめとする韓国の有名インスタントラーメンブランドが大幅な値上げを行った。メディアが伝えたところでは、昨年10月に韓国のインスタントラーメン価格が前年同期比11%上昇し、09年2月以降で最大の上昇幅になったという。

日清食品は値上げの理由について、原材料の供給が不安定で価格も高騰しているためとする。値上げのお知らせの中では、「日清食品がこの前に中国大陸部でインスタントラーメン価格を引き上げたのは11年前の2011年だった」と特に指摘している。

食品産業アナリストの朱丹蓬さんは、「インスタントラーメンメーカーのコスト上昇は全方位的で多角的なものであり、原材料価格、人件費、管理費など各方面に及ぶ。産業サイド全体と消費サイドを結びつけて考えると、今回の値上げは良性のものだと言える。10%前後の値上げ幅は合理的な範囲でもあり、売り上げには影響しないだろう」との見方を示した。

 

インスタント麺はなぜ人気に陰りが見えるのか

インスタントラーメン値上げのニュースに対し、多くのネットユーザーが「麺塊はとっくに小さくなっているよ」とコメントしたが、「どうでもいいよ」、「インスタントラーメンはしばらく食べてない」というコメントもあった。

飛躍的に発展する食品デリバリー産業及びより多様化したインスタント食品がインスタントラーメンに与えた打撃は決して小さいものではない。たとえば年間売上高が500億元(約9050億円)を超えるタニシ麺は、その非常に個性的な味によって2021年の大人気商品になった。

それに対して、インスタントラーメンの大手メーカーの業績は「惨憺」たるものだ。21年の中間決算によれば、康師傅はインスタントラーメン業務の収益が同14.67%減少し、統一集団はインスタントラーメンを中心とした食品業務の収益が同5億元(約90億円)近く減少した。

この両社は収益減少の原因を「新型コロナウイルス感染症の状況が緩和されて(一時的に大幅に増加した)消費ニーズが常態に戻ったこと」を挙げるが、13年以来、インスタントラーメン産業は全体的なニーズ減少という苦境を覆い隠すことができなくなってきた。

朱さんは、「新しい世代全体の人口ボーナスが積み上がるのに伴って、この世代の消費の考え方と消費行動によって産業サイドのイノベーション・高度化及びバージョンアップが迫られるようになった」と述べた。