「フリーランス時代」に突入する日本

日本の就業構造は現在大きく変化しており、「フリーランス」になる人が増加している。自分らしく生活しながら仕事をしたい人が増えており、日本の伝統的な就業スタイルはターニングポイントを迎えている。

フリーランスがブームに

日本厚生労働省の調査によると、2016年、副業形態等も含めた広義のフリーランスの人口は1064万人と、前年に比べて17%増加した。

フリーランサーは仕事は好きな時間に行い、仕事をする場所も自由で、複雑な職場の人間関係に悩まされることもない。厚生労働省の調査では、企業と雇用関係のある労働者と比べて、フリーランサーは、「自分のやりたい仕事が自由に選択できる」ことなどに満足を感じているとしている。

広報活動業に携わるフリーランサーの平田麻莉さん(35)は、「私はどんな仕事もやってみたい。フリーランスは私の性格に合っており、毎日充実して幸せ。時間にも融通が利き、仕事のせいで家族の世話ができないということもない。例えば、親が病気になっても、一日中世話をすることができる。普通の仕事だったら、ジレンマに陥ってしまう」と話す。

インターネットなどの通信手段の発展が、フリーランスを可能な就業形態にしている。平田さんは、仕事のファイルをDropboxやGoogle Driveに保存し、空いた時間を利用して仕事をしている。

16年に日本の経済産業省が発表した「新産業構造ビジョン」は、経済のグローバル化、商業運行の高速化が進むにつれ、労働者と企業の関係が「固定の雇用型」から「産業の特徴やビジネススタイルに基づいて人員を配置するプロジェクト型」へと変化し、フリーランス型の雇用スタイルが少しずつ増加すると予想されている。

準備不足

しかし、あるアナリストは、フリーランスブームが巻き起こっているものの、日本社会は明らかに準備不足との見方を示している。

フリーランスは様々な面で便利であるものの、社会保険など、固定の雇用関係により得られる保障や福利厚生がない。「新産業構造ビジョン」によると、フリーランサーを個体とする場合、企業から仕事をもらっても立場は弱く、現存の労働法体系では十分な保障を得ることができない。14年のある調査報告によると、フリーランサーの約33%が「企業と交渉する際、自分の立場は弱い」と感じていた。厚生労働省の調査でも、フリーランサーの約80%が「企業から社会保障福利厚生を全くもらっていない」と回答した。同割合は、固定の雇用関係がある正社員を見るとわずか2.8%にとどまっている。

収入を見ると、日本のフリーランサーの満足度は低い。ある調査では、フリーランサーの1週間当たりの平均労働時間は固定の仕事がある人とほぼ同じであるものの、年収には開きがある。収入が不安定であることが、日本人がフリーランサーになる際に最も不安視することだ。

政府とフリーランサーの協力が必要

第4次産業革命が推進されるにつれ、日本の就業構造、企業と個人の関係も変化してきている。伝統的な終身雇用制度は社会の安定には役立つものの、日進月歩で変革する経済社会にはマッチしなくなっており、人材の自由な流動の妨げになり、日本の労働生産率が低迷する主な原因の一つにさえなっている。

また、日本のフリーランサーの規模が日に日に拡大し、日本政府は最近になってやっとフリーランスブームに注目するようになっている。例えば、16年から、日本政府は大々的に「働き方改革」を実施し、フリーランスの普及推進をその重要な措置の一つとしている。

日本政府が行動し始めたというニュースを見た平田さんは、「日本にもフリーランサーの時代がついに来た」と感じ、すぐに他のフリーランサーと共に行動を起こし、一般社団法人「プロフェッショナル&パラレルキャリアフリーランス協会」を立ち上げた。今年3月の時点で、企業100社が同協会のスポンサーとなっている。

同協会は、大企業にしかない福利厚生制度や納税、法律などに関する相談など、フリーランサー特有の悩みに的を絞ったサービスを会員に提供している。まさにフリーランサーにとっての「駆け込み寺」となっているだけでなく、政府とのパイプ役という役割も果たしている。「フリーランサーは広く意見を求め、声を上げ、日本の社会でフリーランサー全員が仕事や生活がしやすくなるよう、共に取り組まなければならない」と平田さんは語った。