日本はなぜデフレから脱却できないのか

日本政府が発表したデータをみると、2017年第4四半期の実質GDP(国内総生産)は年率換算で0.5%となり、日本経済は8四半期連続のプラスとなり、1980年代末のバブル崩壊以降で最長の成長記録を達成した。

重要な経済指標をみると、日本経済が好転していることがよくわかる。完全失業率は2.8%という歴史的な低水準に低下し、企業全体の収益水準は緩やかに上昇した。

日本政府は、「5年にわたる経済回復を経て、『いざなぎ景気』を超えて第二次世界大戦後で2番目の長さの景気回復局面になった」としている。

だが日本経済は新たな長期的経済回復局面を達成したが、25年も続くデフレ局面からは脱却できていない。日本銀行(中央銀行)はこれまでずっと2%のインフレ目標の達成に向けて努力するとし、19年の達成を見込むが、達成時期はこれまで再三にわたり先送りされてきた。

デフレは長引くと脱却が難しくなる。本質的にいえば、デフレの原因は構造的なもので、直接の原因は内需不足にあり、ひいては消費の不振をもたらす。

ここ数年、日本では世帯所得の構造に一連の変化が起こり、実質所得が減少し、16年の勤労者世帯の平均実質所得(月収ベース)は45万9000円となり、10年前に比べて2万1000円減少した。

労働分配率は77年の76%から現在は61%という歴史的低水準に低下した。企業は利益を獲得しても、賃金として分配することを望まず、留保分を拡大して、海外市場への進出をはかろうとする。また日本政府の財政への大きな懸念から、未来を悲観し、消費を強く引き締める人が多い。

それだけではない。日に日に深刻化する少子高齢化が日本のデフレをさらに進行させる。一方で、高まり続ける財政圧力にさらされる中、社会保障費は国の歳出の半分を占め、毎年5千億元(約8兆4270億円)以上のペースで急速に増加している。

また一方で、少子高齢化による労働力人口の急激な減少により、日本の労働力人口比率は95年に比べて1100万人減少し、日本経済を需要不足から供給不足に追いやっている。労働投入量が減少すれば、潜在的経済成長率を抑制するようになることは確実だ。

実際、橋本龍太郎内閣の時代以降、日本の歴代内閣は改革を進めてデフレから脱却しようとしてきた。あらゆる手段を試みたが効果は限定的で、その主な原因として政策の方向性と取り組みの強弱に問題があることが挙げられる。

現在の「アベノミクス」の一連の改革措置ではまだ深層レベルの構造改革は始まっておらず、日銀の金融緩和政策に過度に依存しながら、財政支出を拡大して経済を活性化しているだけだ。

こうした措置により日本経済は緩やかな回復を遂げたが、非常に大きな代償も支払った。日本の財政危機のリスクを絶えず積み上げただけでなく、新たな経済の潜在的リスク、すなわち日銀の「時限爆弾がいつ爆発するか」という金融リスクを抱え込むことになったのだ。

金融政策のピークと財政再建の巨大な圧力に直面して、日本は今後の経済改革の重心を成長戦略と構造改革に移さざるを得なくなる。労働改革はそのための重要な突破口になる可能性があり、労働生産性を向上させるだけでなく、労働投入量を拡大し、潜在的経済成長率を上昇させると同時に、実質賃金を引き上げ、最終的には消費ニーズを拡大することにつながる。

社会保障と税の一体改革も重点になる。このほか関連の産業政策を打ち出して企業の投資を促し、新たな技術革命を推進していくことも考えられる。積み上がり、後戻りできない構造的問題に直面して、既得権益層がこれまで吸ってきた甘い汁を吸えないようにしなければならない。改革が成功するかどうかは、まさにこの点にかかっている。