「漢字」が中日韓の距離を近づける

漢字はすでに3000年の歴史を持ち、古くから日本や韓国に影響を与えてきた。この点から、漢字は、中、日、韓三カ国間の文化交流の絆とも言える。

 
2014年9月に韓国で行われた漢字展示会の様子

808字を把握すれば、三カ国の交流はさらに便利に

第6回中日韓3国文化長官会議は、2014年11月29日から横浜で行われた。同会議に出席した下村博文文部科学大臣は、基調講演の中で「中日韓漢字文化交流」について話題に触れ、中日韓の共同常用漢字808字を積極的に使用することを提案した。「共通808字」は、日本の新聞のニュースサイトで紹介され、整理されている。また、韓国でも共通808字に関する書籍が出版されている。この点からも、三カ国ともこの共通808字を本国で普及するよう促進していることが見て取れる。

 

808字の普及で、もたらされる便利

韓国の西江大学の大学生、金俊昊さんは、「現在、韓国では普段漢字を使用しないので、実際のところ漢字が欠如している状況にある。もしこれらの常用漢字が普及すれば、韓国の漢字教育に有利なだけでなく、中国で勉強をする韓国人や旅行で中国を訪れる韓国人にとってもより便利になるだろう」と語る。

このほか、中国人民大学文学院の古代漢語教研室の趙?室長は、「漢字は表意文字だ」と指摘する。特定な状況下、言葉が通じなくても、漢字によって簡単な交流ができる。堅く見積もっても、共用漢字がわかれば、路上の80%以上の看板に書かれている漢字や簡単な中国語の説明文の意味がわかる。この共用漢字表があれば、三カ国の観光旅行客の交流がより便利になる。

 

漢字を架け橋として、新しい文化交流の段階へ

中日韓の三カ国間にはこれまで長期的に歴史的な紛争や領土、政治面での問題が存在してきた。このような状況において、中日韓共同常用漢字808字の普及が三カ国間の国民の文化や一体感のほか、三カ国間の文化交流の促進に役立つことは疑うべくもない。特に2015年は第2次世界大戦後70周年のほか、日韓の国交正常化50周年を迎える記念すべき年だ。この文化交流の取り組みは三カ国の関係にも積極的な影響を与えることだろう。

下村文部科学大臣は中日韓文化部長官会議で、「深い影響力を持つ民間交流と努力の下、三カ国共同常用漢字808字の概念を普及させることは、三カ国の文化交流に豊かで大きな果実を実らせるだろう」として、「これは、三カ国の国民間の相互理解や文化的交流を促進させるだけでなく、国民が他国文化を尊重する良好な習慣を培うことにも役立つだろう」と語った。

また、中日韓の経済分野での協力プロジェクトもますます増えている。2012年11月20日にスタートした中日韓自由貿易協定(FTA)交渉は、幾度もの協議を経て、中日韓ですでに実質的な最終交渉段階に入っている。このような状況下、808字の中日韓共同常用漢字の普及は経済交流を促進させ、できるだけ早い自由貿易区の協定締結を実現させる上でも大きなメリットがあるだろう。