癒し系日本ドラマ「深夜食堂」が中国で人気

人々が慌ただしく家路に向かい、間もなく1日が終わろうとする頃、「深夜食堂」の店主の1日がまさに始まる。第39回日本漫画家協会賞大賞を受賞した同名漫画を原作とする一話完結30分ドラマの「深夜食堂」は、2014年12月22日の冬至の日に第3シーズンの最終回を迎えた。同日、中国では独占配信権を持つ動画共有サイト「土豆網」が日本と同時に最終回記念特別放映会を開催した。今後、「深夜食堂」の人気を引き継ぐのは、「深夜食堂」と並び、深夜枠癒し系グルメドラマの傑作として人気の高い、久住昌之の人気漫画を原作とする中国語版ネットドラマ「孤独のグルメ」だ。

 


同名の人気漫画の中国語版の表紙

「深夜食堂」とは?

深夜枠の癒し系ドラマの傑作と称される同ドラマの舞台となるのは、歓楽街の端にある小さな店「深夜食堂」。店の営業時間は、深夜12時から朝の7時ごろまで。物語の主人公である食堂の店主は、刃物で切られたような傷を顔に持つミステリアスな男だ。

メニューにあるのは、豚汁定食と数種類のアルコール飲料だけ。しかもアルコール飲料は数量限定だ。「深夜食堂」は毎回思い出と愛情に満ち溢れたシンプルな美食が登場する。各話に登場する主人公の肩書も、有名になりたい女性歌手、AV男優、暴力団の組長といったように、少しばかり変わっている。だが、さまざまな肩書を持つ人の背後には同様に感動的で、心温まる物語が隠されている。

 「深夜食堂」の魅力とは?

海外には食べ物に関して、「comfort food」(幸福を与える食べ物、おふくろの味)という表現がある。つまり、癒し系グルメのことだ。失恋や落ち込んだ気持ちを癒すのに最適な方法は、食べ物で空虚な心を満たすことだ。胃袋は往々にして心より正直だ。「深夜食堂」の最大の魅力もここにある。つまり、店主と客の間の交流だ。

例えば、第3シーズンでは、深夜に揚げた香ばしいコロッケに隠された2つの愛情の物語が描かれた。店に、かつて絶大な人気を誇った歌手がやってきて、夫が生前好きだったコロッケを食べる。歌手は、夫を亡くしたことから、歌手を辞める決意をしていた。その時、グルメ批評家とその妻が食堂にやって来る。ガンを患っている妻の唯一の望みは、もう一度女性歌手の歌声を聴くことだった。店主は最後に、「これからは自分のために歌をうたえばいい」と歌手を励まし、グルメと歌声で、そこに居合わせた傷ついた人々の胃と心を慰める

 「深夜食堂」の人気ぶりは?

「深夜食堂」は、日本の人気漫画家、安倍夜郎の人気漫画をドラマ化したものだ。原作漫画は2007年に「第55回小学館漫画賞[一般向け部門]」や「第39回漫画家協会賞大賞」を受賞した。ドラマ「深夜食堂」は、小林薫、松重豊、オダギリジョーなどの実力派俳優たちが出演しており、最も人情味あふれる日本ドラマと称賛された。