日本の対中投資は大幅減少していない

 日本の対中投資は大幅に減少していない

日本貿易振興機構(ジェトロ)が8月7日に発表した2014年版「ジェトロ世界貿易投資報告」によると、2013年の日本の対外直接投資は前年比10.4%増加して、1350億ドル(約14兆1400億円)に達し、5年ぶりに最高を更新した。

このうち対中投資は同32.5%減少して91億ドル(約9533億円)になった一方、東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国への投資が2.2倍増加して236億ドル(約2兆4723億円)に達した。その原因は中日関係の影響と中国の労働力コストの上昇にあると分析されている。

姜所長の見方によると、二国間の投資の変化の分析は、「点」ではなく「線」で考えるべきで、一定の相対的に長期間にわたる分析を経なければならない。中日両国の政治的関係は緊張状態にあるが、日本の対中投資は大幅に減少してはいないという。

日本の国際協力銀行が行った調査の結果では、中国は日本企業の長期的・商業的発展において2番目に潜在力をもつ市場だという。日本政策投資銀行の調査結果では、日本の大手メーカーの70%以上が、対中投資の歩みを緩めることは考えていないと回答した。

日本の財務省がまとめた統計でも、日本企業が中国で行う直接投資のペースは引き続き相対的な安定を保ち、毎年平均100億ドル(約105兆円)の水準をおおよそ維持していることがわかった。

姜所長は次のように分析する。発展の状況をみると、中国への投資には引き続き利益が期待できる。中国経済の急速な発展傾向は阻止できないもので、長期的な見通しをもった外資系企業にとって中国には非常に大きな吸引力があるといえる。また中国の西部大開発戦略に後押しされて、発達が十分ではない内陸エリアが外資系企業により多くのビジネスチャンスをもたらすことが予想される。

また姜所長は、「日本の対中投資企業は今、モデル転換の時期にさしかかっており、投資活動が単純な製品組立を行う製造業から消費財を製造する産業やサービス産業へと徐々に移りつつある。中国の消費者が豊かになるにつれて、より多くの資金が消費に回るようになり、日本も中国市場での商品やサービスの販売に期待がもてる。こうして、力強い中国経済が日本企業により大きな市場シェアを提供し、日本経済の持続的な発展にプラスになることが予想される」と話す。

 中国は経済強国にはまだ開きがある

1990年代以前には、中国の国内総生産(GDP)は日本の10分の1しかなかったが、20年に及ぶ発展を経て、中国は10年に日本を抜き世界2位の経済国になった。

こうした力関係の変化を受けて、「中国は日本をはるかに凌駕した。もう日本からの投資を重視する必要はない」という意見も出てきた。

姜所長はこのような意見に対し、「冷静に、客観的に中国経済の世界ランキングをみるべきだ。中国はGDPの規模では世界2位になったが、一人あたり平均GDPも平均所得も、また経済成長の質や構造でも、世界の経済強国との間にはなお大きな開きがある」と強調する。

中国は今なお、経済発展の過程で解決すべきさまざまな難問に直面している。たとえば生態環境、個人所得、教育、住宅、医療などの分野に、引き続き一連の問題が存在する。課題に対処するため、中国は産業構造の調整、発展モデルの転換、都市化プロセスの推進を積極的に進めている。

こうした背景の下、日本は「先行者」として中国にさまざまな経験を提供することができる。姜所長は、「省エネ・環境保護分野は中日の間で今、最も相互補完性の高い産業だ。両国はこの問題について長らく話し合ってきたが、現在行われている協力プロジェクトはまだまだわずかだ。今後の協力の可能性は非常に大きい」と述べている。