中国人はなぜ日本の商品を買うのか
中国人はなぜ日本の商品を買うのか

現在、海外商品の代理購入が大変なブームとなっている中国では、海外のブランド品を買うことが一種のステータスやファッションとなっている。一方、日本では逆に国産品こそが「高品質」の代名詞となっており、米や果物などの国産品は常に高めの値段で売られている。この高めの値段は、土地の資源が少なく、生産高が比較的少ないことが一因だが、国産品の「高品質」に対する国民の信頼感もその要因の1つとなっている。

食の安全性が問われる事件が頻繁に起こっている中国にとって、いかに法律やトップダウン設計によって食品の安全管理を強化し、人々の生命や健康を保障するかが目下解決すべき重大課題となっている。中国は、「食の安全大国」と称され、この分野で豊富な経験を持つ日本をぜひ見本にするべきだ。

実のところ、日本でも過去には下水油やヒ素入り粉ミルクといった食の安全を脅かす事件が起きたことがある。食の安全問題を解決するため、日本は47年に「食品衛生法」や「食品衛生法施行令」「飲食業営業取締法」を制定した後、続いて各種食品にそって、「牛乳営業取締規則」や「飲食物防腐剤、漂白剤取締規則」などの法規を制定した。

しかし、時代とともに新しい問題が次々と現れ、もともとの法律・法規ではすべての食の安全問題に対応しきれなくなった日本は、03年に「食品安全基本法」を制定・実施し、食品事故後のリスク管理と対策を強化した。

 

そのうち、特筆すべきなのは、農作物の生産履歴管理システムだ。これは、消費者に産地の確認や生産過程の追跡を可能にさせ、生産時点から食品の安全性を脅かす事故を防ごうとするものだ。

日本人は特に食品の生産地を重視している。日本では、各スーパーマーケットやデパートで販売されるほぼすべての食品の包装に、北海道の牛乳や新潟の米といったように、生産地が印刷されている。これは、地方自治体の宣伝や農作物の「履歴書」制度に基づいている。この制度は50年に制定された後、70年の改正を経て、99年の全面的に実施された「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(JAS法)」によって施行された。

政府の力の入れ様、それに加え日本の高度な信頼社会に基づいて企業・個人に提供される質の保証が、日本の食品安全神話において最も重要な2つの要素となっている。

しかし、実のところ、この世に恐らく完璧な管理制度というものはあるはずがない。法律が比較的整備されている日本でも、食品事故を完全に無くすことは不可能だ。政府が法律・法規を制定することは、行政が強制的な手段で管理を行うことであるが、やはり生産企業や個人の道徳観や良心がなければ、本当の意味での高品質、高度な安全性を誇る管理システムは築けない。

ある日本の友人がブログに投稿した文章によると、「日本人は信頼を何よりも重視する。特にブランドに求めるものは高品質と安全性だ」という。消費者のニーズに応えるため、企業は自らの使命を果たさなければならない。そして、国民の安全を守るために、政府は関連企業への厳しい管理を行わなければならない。消費者の企業に対する信頼とは結局、消費者の企業の従業員に対する信頼であり、つまるところ人と人との間の信頼だ。もし相手がこの信頼を裏切れば、大企業であってもいつ倒産してもおかしくない。