文化でASEANに挑む日本

海外メディアによると、日本政府は今後7年間でASEAN(東南アジア諸国連合)各国の高校に日本語を普及させる目的で3000名のボランティアを送り込む計画だという。日本政府は今年9月にはインドネシアなどに第一陣の60名のボランティアを派遣し、現地の日本語教師をサポートし日本語の普及活動を行う予定だ。


日本の茶道(『信息時報』より) 

 

金銭外交から

文化外交に特化

日本は2008年までASEANにとって第1の貿易パートナーであった。日本とASEAN各国との提携は、大衆受けする民間路線、非政府間の大型取引を得意としている。日本はASEAN各国の各界から訪日団を組織して交流したり、現地に文化育成機関を設立し、日本語、茶道、生け花などの日本文化を広めている。

近年日本経済は低迷しているため、「金銭外交」は難しくなっており、低コストの文化外交が人気である。アジアに目を向けると、日本の経済面でのASEANに対する発言力はなお大きいが、文化面での影響力は限られていた。

ASEANの資源と戦略的位置というおいしい部分を視野に、日本は中国のASEANに対する影響力が日に日に大きくなっているのをおそれている。中国が2011年に日本を抜いてASEAN第1の貿易パートナーとなり、ASEANとの提携を日々深めていることに日本は非常に敏感になっている。

日本は一連の援助を通してさらにASEANでの存在感を強め、中国の影響力を抑制しようとしている。

 

援助の流れの中で

「文化」を扱う

第二次世界大戦ではベトナム、ミャンマー、マレーシア、フィリピンなどはみな日本の侵略の被害を受けており、日本はソフトパワーの力を借りて東南アジアでイメージを一新しようと計画しているという見方もある。

清華大学当代国際関係研究院の劉江永副院長は、日本がASEANにボランティアを派遣して日本語を普及させ「文化戦」を起こすと簡単に解釈することはできないとし、これに対しては派生的な分析をせず、現実に基づく態度で具体的な問題を具体的に高度な分析をする必要があると述べている。

日本の「金銭外交」は東南アジアに向けたものだが、日本は経済的に各国に援助を行っているだけではない。劉副院長は、日本政府の対外援助はインフラ整備のための円建て低金利借款提供、シンボル的な建築物の寄贈、技術人員の日本での研修などの無償援助があり、日本がボランティアの日本語教師を派遣するというのは突然の挙ではなく、今までの流れの中での正常な文化交流の一環であると指摘している。

劉副院長によると、改革開放の初期に日本は中国に対しても、中国で日本語教師を養成するため北京に日本文化センターを設立するなど無償援助を提供したという。日本が文化の浸透を新たに図っていると断定的に解釈することは実際的ではない。

 

歴史イメージ

改善には力不足

以前から日本は「アニメ外交」を展開し、海外の若者の日本のアニメに対する興味を利用し日本に対する好感度をアップさせようとした。

日本は文化面で援助して国のイメージを改善しようとし、多角的に日本を理解してもらおうとしているが、政治情勢と国際情勢における日本と隣国との関係に影響を与えるには力不足であると、劉副院長は分析する。さらに、文化援助の影響や効果は輸出国によって決まるのではないが、文化政策は政治的影響を受けることは避けられないとし、「両国関係の長期的な対立、関係の悪化は、文化交流を妨げる」と述べている。

さらに劉副院長は、日本のASEANへの日本語教師派遣と日本の侵略者としてのイメージを重ねることはできないと強調する。この計画はASEAN諸国に一定の影響を及ぼすだろうが、日本による侵略の歴史のイメージを改善するには力不足なのである。