日本が原発を輸出するトルコは地震大国

2013年5月、日本とトルコは原発輸出に関する原子力協定を締結したが、『特定秘密保護法案』をめぐる混乱の影響で継続審議になっている。

最近行われた日土首脳会談の席上、安倍晋三総理は再び、審議中の両国の原子力協定に言及し、原子力協定を1月の通常国会の最優先課題とすることをエルドアン総理に約束した。

安倍総理はトルコとの関係を非常に重要視している。2013年5月と10月に2度トルコを訪問し、これまでに3度首脳会談を行っている。

安倍総理のトルコ初訪問で、トルコ政府は黒海沿岸の港湾都市シノップに建設予定の原発の排他的交渉権を日本に与え、戦車用エンジンの共同開発・生産協定を結んだ。二度目の訪問では、シノップに建設予定の4基の原子炉における三菱重工業とフランス企業との連合受注を獲得した。

しかし、ここで問題なのは、日土間の原子力協定が、両国政府が同意すれば、トルコは核燃料の濃縮と再処理を実施できるという内容になっていることだ。

濃縮ウランや使用済み核燃料のプルトニウムから核兵器は製造される。今回原子力協定の成立を急いだことで、将来トルコに核開発の余地を与えることになる。

周囲の不安の声に対して、岸田文雄外務大臣は衆議院外務委員会において、「日本の同意がなければトルコは再処理を行えない。日本が同意することはない」と弁明した。

そうであるならば、なぜ、日土原子力協定のこの条文を取り消さなかったのか。外務省国際原子力協力室は、トルコ側が、再処理できないことを明記するのを拒んだためだと明かしている。日本にしてみれば、3.11東日本大震災後、国内市場を失った原発企業に海外市場を開くために譲歩せざるをえなかったということか。

周知のとおり、トルコは世界でも有数の地震大国の1つである。日本政府が積極的に進めているシノップでの4基の原子炉建設には、現地でも反対の声が上がっている。「環境・持続社会」研究センターの関係者も懸念する。「トルコにはまだ、建築物耐震処理規範などは無く、大地震が発生すれば、原発付近の道路等のインフラは麻痺状態に陥る可能性が大きく、事故処理などできようもありません」。

福島原発では今も絶え間なく事故が発生しているというのに、安倍総理は依然として意に介せずの態度をとり、自国の原発事故の処理もできていないのに、海外に原発を輸出するというのだ。日本の万全なインフラへの地震対策に遅れをとっていることは明らかであるのに、トルコに4つの時限爆弾を配置する協力をしようとしている。

現在、昭恵夫人も「自国の原発事故も解決できていないのに、原発を海外に輸出しようなんて、何を考えているのかしら」と、夫への疑いを隠し切れない。

安倍総理には、何か他に意図するところがあるのだろうか。

(日本新華僑報網より)