日本の漢方薬の発展は中国も参考にすべき

漢方薬は中国の伝統文化の貴重な宝であり、世界でも中国の窓口で巨額の収益を得ていることが理解されていて、本来は他に追随を許さぬ優位に立つべきもののはずだ。ところが実際には日本の漢方薬が影響力を強いだけでなく、そこには中国が参考にすべきものがある。

日本の研究データによると、海外の漢方薬市場で中国が特許権を持つのはわずか0.3%に過ぎず、日本と韓国の所有率が70%を超えている。海外における漢方薬の市場規模は300億米ドルだが、中国の漢方薬が占める比率は5%に達していない。

このような困った状況に対し、中国は手をこまねいている。中国の学者がかつて苦情を訴えたことがある。「我々は非常に安価な漢方薬材を生産し日本やヨーロッパに輸出しているが、彼らは高価で、金儲けになる製品を生産している。日本とドイツは漢方薬で最も儲けている」。

薬物を商品として取り扱うには、品質基準、顧客の需要といかに合致するか、知的財産権の保護、これが厳しい競争の中で市場の分け前を手にするカギとなる。この面で外の文化を学習し、それを吸収して改良を加えていったことは、日本が漢方薬の輸出に関する問題を敏感に察知して、対策を立てて、海外で花を咲かせていった原動力となっている。

しかも日本の漢方薬品メーカーは中国に生産基地を設けているだけでなく、製薬メーカーの買収や合弁を行って、漢方薬材を絶えず輸入し、生産面でも高い基準を厳格に求めている。例えば、高度な分析技術、機械設備で薬剤の品質を維持し、用法と使用量を厳しく規定し、薬効を高めることに力を注ぎ、最も適切な薬品成分比率を追求している。

日本からすれば、国際的にも合理的で厳しい基準を提供すれば、欧米基準と競合しないですむ。このため厚生労働省は漢方薬製品に対し詳細な基準を設け、薬効と化学成分を標準化している。このような努力は品質を確保し、優れたイメージを与えるだけでなく、ヨーロッパに理解されて漢方薬を受け入れてもらうために重要なことである。津村製薬の『六君子湯』がヨーロッパの医学界で抗癌治療の補助剤として用いられたことは、成功例の一つである。

このほか、知的財産権を活用し、日本産の漢方薬を世界に進出させた。薬品処方と薬効の研究は留まるところがなく、新たに取得した研究成果を適切な手段で保護することによって、それがもたらす経済効果と利益が無駄に流出することを防いでいる。日本の製薬メーカーは先を競って漢方薬の処方を商標登録し、アメリカで特許を取り、すでに所有する漢方薬製品をベースとして新品種を開発し、さらに特許を取るというやり方を行っている。こうして、日本の漢方薬は世界市場で足場を築いた。