中日韓協力に新たな活力――3カ国首脳会談

 

2012年は中日国交正常化40周年、中韓国交樹立20周年に当たり、5月13日に第5回中日韓首脳会議が北京で行われたのは格好のタイミングといえる。会議には、中国の温家宝総理の招きに応じて韓国の李明博大統領、日本の野田佳彦首相が訪中し出席した。今回の会談の重要な成果は、中日韓が正式に投資協定に調印し、また中日韓のFTA交渉を今年中にスタートさせることで合意し、三国の実務協力に新たな活力を添えたことだ。

 中日韓の協力は1999年に始まり、現在ではすでに首脳会議を核として、外交、経済・貿易、科学技術、文化など18の閣僚級会議と50以上の実務レベルの枠組による協力体制をしいている。

中国側の統計によると、中日韓の貿易総額は1999年の1300億ドル(約10兆円)余りから、昨年にはすでに6900億ドル(約54兆円)以上となり、実に4.3倍に増えている。中国は日本、韓国の最大の貿易相手国であり、日本、韓国は中国にとってそれぞれ第4、第6番目の規模を持つ貿易パートナーだ。

日本側の統計では、昨年の中日貿易総額は前年より14.2%増えて3449億1000万ドル(約27兆円)に達し、日本の対外貿易総額全体の20.6%を占めている。韓国側の統計では、昨年の中韓貿易総額は前年比18.7%増の2139億2000万ドル(約17兆7000億円)で、韓国の通年貿易総額の19.8%を占めている。

日本と韓国は中国にとって重要な外資の源だ。2011年末時点で、日本と韓国の対中直接投資累計額はそれぞれ800億ドル(約6兆2000億円)、500億ドル(約3兆9000億円)に迫っている。

 中日韓協力の最大の受益者は三カ国の国民だ。民意に沿って、民間の利を図り、民業の振興を図るのが政治の根幹だ。中日韓が自由貿易を実現することは三国共同の利益に合致するだけでなく、世界各国の利益にも沿うことになる。

現在、中日韓はすでにそれぞれASEAN(東南アジア諸国連合)10カ国と自由貿易を実現しており、韓国は米国、EUとそれぞれFTAを締結している。

また日本はすでにTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)参加の交渉をスタートしており、中日韓がFTAを締結すれば、アセアンと中日韓の「10+3」の自由貿易圏が成立することになる。

中国は他の東南アジアの国と欧米との間の自由貿易チャネルを利用して出口を拡げることができ、欧米とのFTA交渉開始にも有利に働く。

 もちろん、中日韓のFTA締結にはいくつかの困難も伴う。三国はそれぞれ保護が必要な脆弱な産業を抱えており、領土と海洋権益に関わる争い、歴史問題や民族感情などの要素も含む一部の課題については適切な処理が必要だ。

 近年、中国に対する韓国の(経済連携面での)姿勢は日本よりさらに積極的で、最大の利益を得ている。ジェトロの推計では、中韓のFTAが発効すれば韓国の対中輸出は約277億ドル(約2兆2000億円)増加し、日本の対中輸出を上回る。

実際、人的往来の面では韓国はすでに日本を上回っており、韓国が中国から得ている貿易外黒字も日本より多い。

2011年に韓国から中国を訪れた人数は延べ418万5000人で、日本からは365万8000人と、それぞれ世界で1、2位を占めている。同時に、韓国はすでに中国からの観光客が最も多く訪れる国になっており、2011年に韓国を訪れた中国からの観光客は述べ200万人に達している。

2012年は『VISIT KOREA YEAR』であり中韓友好交流年で、韓国麗水(ヨス)万博はさらに多くの中国人観光客を引き寄せるだろう。もちろん、朝鮮半島の平和安定が前提となることは言うまでもない。

 2011年に中国から日本を訪れた観光客は延べ104万人だった。日本政府は中国人観光客誘致のため、地震被害を受けた岩手、宮城、福島の東北3県への中国人観光客に、今年の7月からマルチビザを発給する。

2012年は中日国民友好交流年であり、訪日する中国人観光客も当然大幅に増大させるべきだが、現状、最大の障害は原発事故の影響ではなく、日本の右翼勢力が「釣魚島問題」に名を借りて、中日の友好的雰囲気を壊していることだろう。この面での障害をいかに取り除くかに政治の知恵が求められている。