北京で国際学生アニメフェスティバルを開催

    国際学生アニメフェスティバルに、国内外から多数のゲストが集い、素晴らしい作品が大集合した。先ごろ、第6回中国(北京)国際学生アニメフェスティバル「Aniwow!2011」が、中国メディア大学で開かれた。同フェスティバルは創設から5年、すでに国内外のアニメ芸術学院・スクール、研究機関、制作機構ならびにクリエイターの国際交流の場となっている大規模なアニメーションフェスティバルである。
 
コンクール参加作品の大半は海外から
 今回のアニメフェスティバルには世界36の国と地域から、全部で1562の作品が寄せられ、その中の831が海外からの作品だ。コンクールへの参加作品はいずれも水準が高く、各部門の競争は非常に激しいものとなった。
最終的に、フランス・ショーパンフォコム学院(CG専門学校)の作品『TUURNGAIT』が、強烈な視覚へのアピール力、抜群の人物設定と場面設計、そして生き生きした物語の内容などから、今回のアニメフェスティバルの中で最も注目される「白楊賞」(ポプラ賞)を獲得した。
また、今回は中国国内のアニメ学院の優秀作品も集まり、いずれも国内のアニメ作品の水準の高さを示すものばかりであった。これらの作品は海外の先端を行くアニメスクールの作品と同様に、その素晴らしさがコンクールで認められ、特別に設けられた「フランス・ヴェオリア集団」大賞、聴衆に最も受けた賞として「百度奇芸」(中国検索エンジン百度傘下の動画サイト)、美術の作風が最も素晴らしい賞として「万豪カートゥーン」(万豪=北京万豪天際文化伝搬有限公司)がそれぞれ贈られた。
 
模倣はとても意味のあること――丸山正雄氏
 アニメフェスティバルの期間中、アメリカのディズニー、ピクサー、ドリームワークス、日本の講談社、アメリカのライカエンターテイメント及びガルフ・コースト大学などの国際的で一流のアニメ作品が紹介され、また、新しいメディア分野の芸術家や専門家による講演なども行われた。
学生たちにその道の巨匠による有益なアドバイスとして、「結合して一つになる・互いに影響しあう・共に利益を得る」といった課題が示された。中国メディア大学アニメ学院は設立10周年。国際アニメ・マンガに関する教育と産業フォーラムなどを開催、さまざまな講座が開かれ参加した学生を深く啓発した。
 ゲストの中で最も注目を集めたのは、アニメ界の大御所、丸山正雄氏(日本のアニメスタジオ・マッドハウスの創設者)だった。丸山氏は「アニメ映画制作の私見」と題した講演を行い、「模倣はとても意味のあること。自分が作るものがすでに他の人によって作られているものであるかどうかを気にかける必要がないからだ。重要なのは自分の個性を表現すること」と語り、学生の耳目を集めた。
さらに、アメリカのシェリーページ氏(ドリームワークス海外部門統括)の講座では、ドイツ、アメリカ、イギリス、インド、ロシアなどの国で、今一番輝いているアニメ作品を紹介し、詳しい分析を行った。さらには、アニメフェスティバル期間中、オーストリアの女性アニメ、フランス、日本のアニメなどを特別上映し、学生たちにとって、見るもの聞くものすべてを貪欲に吸収する場となった。
 
『劇』――伝統芸術と現代技術のドッキング
 フェスティバルでは、中国メディア大学アニメ学院が撮影・制作した伝統芸術を題材にした3D映画『劇』が第1番目に上映された。「張飛、馬超、夜を徹して戦う」では動きも風采もよく、「伍子胥、一輪の月」(伍子胥〈ごししょ〉=春秋時代の楚の名族。父、兄が楚の平王に殺されたため呉にはしり、呉をたすけ楚を仇討ちした)の歌う調子が格好よく、観衆の前で語る講談のように、抑揚をつけたり急に調子を変えたり、「劇」の中から「劇」の外へと巧みに移動する、手の込んだ構成が巧みだ。
この映画の総監督であり、中国メディア大学副学長兼同大学アニメ学院長の寥祥忠氏は、「中国の文化的な視覚(カメラアングル)を用いて時勢の移り変わりを見つめ、それを先端的映像技術を使って表現する、これが本作品と外国の3D映画との本質的な最も大きな違いである。これはこの産業界のモデル作品として極めて大きな意義を持っている」と述べた。
 ウォルト・ディズニー国際部執行副総裁の張志忠氏は、アニメフェスティバルのオープニングセレモニーで講演した際、ディズニーの会社の物語を通して、アニメは人類が夢見たことを表現するためのものだと強調した。そして、中国のアニメを志す若者に向かって、美しいアニメの夢に向かってますます奮闘するよう励ました。