中国サッカー訪日団は日本で何を学ぶのか

10月18日から23日まで、中国国家体育総局副局長の蔡振華氏が率いる訪問団が日本を訪れ、東京で日本サッカーの経験を学ぶために現地視察を行った。これまでの視察と異なるのは、この訪問団のメンバーにはサッカー協会役員だけでなく、国務院政策研究室や中国教育部、国家発展改革委員会などの責任者が加わっている点で、中国サッカーを発展させようという中国政府の決心がこれまでよりさらに確固たるものであることをうかがわせることだ。

  

韋迪:「国務院にサッカー弁公室創設」は聞いていない

 日本サッカーがアジアをリードする立場にあることは誰の目にも疑いのないところで、中国サッカーもこれまでに何度か日本へ学習に赴いている。しかし今回がこれまでと違うのは、この訪問団のメンバーが大物ぞろいであることで、その陣容の豪華さはほとんど例を見ない。

蔡振華・中国国家体育総局副局長を筆頭に、国務院政策研究室、中国教育部体育衛生芸術教育司や国家発展改革委員会などの政府関係部門の幹部だ。サッカー協会からは“トップ”である韋迪・国家体育総局サッカー管理センター主任を除けば事務担当者が1人参加しただけである。

 視察団は日本サッカー協会の小倉純二会長を表敬訪問したほか、文部科学省(教育部門)やJリーグも訪れ、浦和レッズや駒場高校も見学した。この日程から容易に分かるのは、中国サッカー協会の今回の目的が日本のJリーグなどの経験を学ぶ以外に、日本のスポーツと教育の結びつきの経験を特に重視していることだ。

 帰国後、韋迪氏は感慨深げに語った。「今回日本で得た感触は非常に深いものだった。日本サッカーのマクロ的管理は我々にとって大いに参考になるものであり、間違いなく大きな手助けになる。日本サッカーの現在の成功は彼らの努力と不可分だということが感じられた」。

韋迪氏はまた「中国サッカーは中国の国情と結び付けなければならない。マクロのモデルは、日本サッカーの成功経験を十分に吸収することが必要だが、具体的な案は多くの部門で総合的に研究した上で出すべきで、視察の成果をいま具体的に話すのは時期尚早だ」とも語っている。

 最近の噂では、関係部門が国務院主導で多くの部門が協調する専門的なサッカー弁公室を創設するという提案をしたと伝えられている。しかし、韋迪氏はこの話は聞いていないとしている。

  

日本メディア:ポイントは依然として体制に

 今回の中国の重量級訪問団には日本のメディアも大いに関心を示しており、主要メディアは大きなスペースを割いて報道した。中国政府がかくもハイレベルの代表団を派遣してサッカーを学ぶのは初めてのことであり、日本サッカー界が、中国やその他のアジアの国々にその経験を余すところなく伝えようとしているのは賞賛に値する、というのが彼らの共通した考え方だ。

 日本サッカー協会の小倉純二会長は談話の中で、日本の成功経験をすべて中国に伝えると語ったと報道されている。日本側は、アジアのサッカーの水準が相対的に低いことは、日本サッカーがさらなる飛躍を目指す際の障害になると見ている。日本サッカー協会は、資金、技術、指導者の派遣など多くの手段を通じて、東南アジアとその他のアジア地区に先進的なサッカー理念と技術を輸出し、中国サッカーに対するサポートは中国政府の“高レベル”の介入で実質的な段階に入ったと捉えている。

 中国のサッカーレベル向上の鍵は体制づくりとビジョンにあり、中国サッカーが果たして強化されるか、疑問があるとするメディアもある。

『報知新聞』は、この十数年をとっても、サッカーをめぐる日中両国の交流と意思疎通は決して少なくはないにも関わらず、中国と日本サッカーの実力格差がかくも広がってしまった原因は、主に中国のサッカーの体制と青少年がサッカーにかける熱意と客観的な条件が制約されていることにあるとしている。

今回の12人からなるハイレベルの代表団は、中国政府がサッカーを非常に重視していることを示しているが、現実の体制問題を解決できるのかどうかは中国サッカーが最も優先して考えるべき問題だ。