海外で反響を呼ぶ中国共産党第17期中央委員会第6回全体会議
海外の中国語メディア人の思い

?豊氏は初めて日本に来た時、中国語の新聞や雑誌が少なくカルチャーショックを受けたという。今も日本文化が世界に広く普及していることに、彼は驚嘆している。10月18日、中国共産党第17期中央委員会第6回全体会議(六中全会)で、『文化体制改革を深化させ、社会主義文化の発展を推し進めることに関する中国共産党中央の若干の重大問題の決定』が審議可決したことに、彼は「奮い立つ」という言葉を使って自分の気持ちを表わした。

 

“文化砂漠”でのパニック

?豊氏は現在『日本新華僑報』の編集長である。1988年8月、日本に学びに来た。「そのころ日本には中国語の独立メディアが一つもなかった。4万人以上の中国人留学生が日本へやって来たが、『人民日報海外版』以外に母国語の新聞や雑誌がなく、一種のカルチャーショックに陥った」と氏は語る。

経済大国日本に来て彼が感じたのは、一面の“文化砂漠”だった。いま、日本の中国語メディアは数十種あるが、整合力に欠けている。

日本で暮らす?豊氏は、中国と日本の二つの文化伝播の差異に極めて敏感である。日本で学び、働き、長年生活してきた。日本の温泉、寿司、相撲、桜の花、アニメなどがみな国際的に通用する「単語」となり、世界各地に「親日族(ハ―リーズー)」がいるのに比べると、中国文化の伝播は明らかに日本文化の伝播より弱い。このような現状に彼は不満を抱いている。

 蒋豊氏と同じような思いを持っているのが、『欧州時報』の編集長である範軒氏だ。氏は取材を受けた時、海外で文化産業に従事していて感じるのは、中国の実力を正視するヨーロッパ人は非常に多いが、中華文化を理解する人は非常に少ないことだと語った。

 

中華文化が伝播する契機

しかし、このような状況が今まさに変ろうとしている。第17期六中全会の「公報」を読み終わった?豊氏は次のような希望を抱いた。「六中全会の決定は、中華文化を海外で伝播する新しいチャンスである。『発展』と『繁栄』が二つのキーワードとなり、国内外が心を一つにして、中華文化を発展させる時期が到来した」のだと。

範軒氏はこれを「破題の挙」(最初の出来ごと)と呼び、「中国共産党第17期六中全会はまさに“文化強国”を国家戦略の表面に掲げた」のであり、「叡智に富み、時宜にかなっている」と評した。

中華文化は世界文化の一部分である。古代には、特にアジアでは中華文化と文明は周辺の南アジア諸国に影響し、中華文明は日本、韓国さらには西アジアの国々にも痕跡を残している。

近代において中華文化はたえず進歩発展し、白話文(口語体文)から始まり、漢語のピンイン(発音表記)を世界に普及し、そして中国の音楽や美術、さらに文化思想までが海外に伝播している。

しかし範軒氏は「中国を代表する“ハードパワー”である経済成長と、中国の“ソフトパワー”である文化発展の歩みとのバランスが悪く、後者は明らかに前者に後れを取っている」と考えている。

『欧州時報』では、その原因は人々が経済成長ばかりみて、中国が製造する製品に関心を寄せ、中国の経済的な実力と経済強国のイメージにばかり注目し、文化が経済同様に国家を支える重要な柱であることを軽視しているからだと述べている。

 

今まさに変化が起きている

範軒氏は、もし経済のハード面での実力がなければ各方面から抑圧を受け、世界の新秩序の外にはみ出てしまうが、文化のソフト面での実力がなければ、「大きいが強くない」、「統一しているが治まらない」、「強いが威力に欠けている」状況になると考えている。

中国もこの点は認識しており、国力の向上に伴ってようやく各方面で中華文化を伝える努力が始められた。孔子学院が世界各地につくられ中国語教育が盛んになり、多岐にわたる各種文化が全世界に伝えられている。

中華文化は5000年の歴史がある。この長い歴史の流れの中で、世界の数多くの文化が消滅し、多くの文明が変容してきたが、中華文化は連綿と続いている。これは中国人の祖先が文化を守ってきたからである。我々の時代になって、その精神をさらに受け継いでいかなければならない。このことは中国人として受け継ぐべき使命といえる。『欧州時報』の社説はこのように論じている。

 しかし、海外メディアも次のように懸念を表明している。「さまざまな文化の対外伝播や普及は、春風が雨に変わるように自然なものであり、強いるものであってはならない。それは漸進的であって、目標達成のために“むやみに攻撃する”ようなものでは決してない」と。