「外交は正直よくわからない」で日米関係は大丈夫か

野田佳彦新首相は「外交のことは正直、よくわからない」(『読売新聞』9月2日)と語っている。

ところが、就任するや日本の外交の核心に言及、安定した日米同盟関係は日本外交の基軸だと述べた。同時に、民主党の前原誠司政調会長をアメリカに派遣し、双方の関係進展をはかった。普天間飛行場移設問題により冷却化している日米同盟は、「緊密関係」を維持できるのだろうか。

第二次世界大戦後に「平和憲法」の束縛を受けてから、日本の軍事力は制限を受け行動も妨げられ、防衛はアメリカ頼りである。日本もまたアメリカの支持を得られることを望み、憲法で集団的自衛権を行使することを含めた一連の制約を緩め、自衛隊の活動に大きな幅をもたせた。しかし、「9.11」後は、アメリカは戦略の調整を行い、日本駐留の米軍を削減した。

2006年の両国間協議によって、2014年までに沖縄駐留米海軍の陸戦隊1万8000人中のうち、8000人がグアムに移される。しかし、これと同時に、アメリカは日本を米軍の最高クラスの海外基地である「戦闘力を展開する拠点」(PPH)と定めている。アメリカがアジア太平洋地域で日本にさらなる責任を負わせようとしているのは明らかだ。

双方は同調して、日本の軍事面と政治への「束縛を解く」ことを図っている。管直人氏の首相在任中、ヒラリー国務長官はすでに日本政府と合意に達し、日米新安保宣言を発表し、「北朝鮮など周辺国に対する軍事威嚇に共同で応じる」ため、さらに迅速な協力システムをつくることになった。

しかし、日米同盟は米軍の普天間飛行場移設問題をめぐり泥沼に陥っている。この米軍基地が沖縄に存在するということは、安全、騒音などの原因で住民の反発を買い、移設を迫られている。鳩山由紀夫元首相は「日米平等」との方針を堅持し、日米が従来交わしていた移設協議を変更することをいとわなかった。

この結果、両国の関係は硬直状態になり、日米新安保宣言の起草も滞った。

アメリカにしてみれば、東アジアの発展途上国は速いスピードで台頭してきているのに、アメリカ本国の財政状態は日に日に厳しくなっている。急いで障害を取り除くためには日本との協力を引き続き強化させたい。そこで9月1日、オバマ大統領は野田首相との初めての電話会談で、日本に普天間飛行場移設問題を優先的に解決するよう求めた。

野田首相は集団的自衛権を強調し、日米同盟を進めることを望んでいる。しかし、『読売新聞』は、野田政権は短期間に、いかに残された負の「遺産」を解決して日米同盟を強化するかが急務である、と指摘している。