日本の首相交代は問題解決につながるか?

8月11日午後、日本の衆議院で「特例公債法案」が可決された。「第二次補正予算案」はすでに先月25日に可決されたので、これをもって菅直人首相が作成した「辞職三条件」は、最後の一つ、「再生可能エネルギー措置法案」を残すだけとなった。知るところでは、政権党である民主党はすでに野党自民党と再生可能エネルギー措置法案は遅くとも8月26日に国会で可決するという共通認識で合意している。その時に菅直人首相はどうやら辞職を発表するようだ。

 菅直人首相が引き続きとどまるのは難しい

震災後の救援が遅く、核危機の対応に力がないことから、菅直人首相の政権能力に社会から疑問を呈され、野党及び党内の猛烈な批判を受けることになった。辞職の意向を表明することで、菅直人首相は党内の造反グループをしずめ、6月2日の衆議院の内閣「不信任案」をなんとか持ちこたえた。しかしその後、菅直人首相は一貫して辞職せず、与党内部にも不満の声が上がった。鳩山前首相は、そのすぐ辞職しない状況をある種の「詐欺行為(訳者注:ペテン)」だと称した。菅直人首相が最後に出した辞任条件の新エネルギー政策も延命策と見なされた。

与党・野党の中で孤立無援の菅直人首相は、同様に民心も獲得できなかった。『読売新聞』によると、8月初めに行われた世論調査では、菅直人首相の8月以内の辞任を求める声は68%と高かった。

現在、民主党では一つの案が浮上し動いている。菅直人首相の辞職条件がそろったら、8月28日に新しい党首の選挙を行なうというものだ。日本では政権党の党首がすなわち首相なので、順調にいけば31日の国会閉会前に新しい首相が誕生するだろう。

 「大連合」が焦点になる

目下、党首選に名前が挙がっているかあるいは立候補を表明しているのは、財務大臣の野田佳彦氏、前国土交通大臣の馬淵澄夫氏、経済産業大臣の海江田万里氏、農林水産大臣の鹿野道彦氏、前環境大臣の小沢鋭仁氏と前国会対策委員長の樽床伸二氏だ。世論調査で呼び声が高い前外務大臣の前原誠司氏は、しばらくは静かにしていたいということで、今回の選挙には出ないことを明らかにしている。

党内、野党ともに評判のよい野田佳彦氏が、現在最も有力な候補者だ。野田氏は消費税の増税を提唱し、さらに自民、公明両党との連立政権の実現を目指し、「大連立」の「救国内閣」を作ることを明らかにしている。与野党の衆参両院における「ねじれ国会」を考えると、連立政権は震災後の復興と核の危機の処理などの関連法案を国会で可決するのに有利だ。

野田氏の「大連立」構想は民主党内の論争の焦点でもある。同様に立候補を決意している馬淵澄夫氏は、この項目を排除しない考えを示したが、ただ、連立政権は討論に時間が長くかかることになり、復興再建の進み具合を引き延ばすことになるかもしれないと指摘した。また、前原誠司氏は、連立政権は政権の安定を意味するので検討するだけの価値があると述べている。さらに、民主党幹事長の岡田克也氏は「大連合」に賛成の意を示している。

日本のこれまでの連合政権は、多くは一党だけ強大な自民党主導によったもの、あるいは多くの小党が組んでできたものである。現在、民主党と自民党が対等な状況下では、大連立政権は一方で自民党の手腕を発揮する機会をつくるかもしれないが、もう一方で民主党の実力の弱体化や内部分裂を引き起こすかもしれない。両者が「平和的共存」をとるかどうかは疑問である。

民主党の最大グループの「小沢グループ」に属する民主党議員の連立政権に対する態度が慎重なので、自民党、公明党はやはり連立政権には興味を示さず、新首相の人選と新政権の構造について変わらず観察の目を向けている。

 新首相が挑戦するべきことは多い

8月12日、日本政府は2011年度の経済成長率予想を1.5%から0.5%に下方修正し、今後の経済の見通しがよくないことを示した。このところの円相場はずっと高止まりで下がらないことから、製品の輸出は大打撃を受けている。債務危機も同様で、日本で「炸裂」しそうだ。岡田克也幹事長は、3日に次のように警告している。「日本の負債は約1000兆円の国債で、今直面している状況はアメリカの国債危機に劣らない、甚だしきに至ってはもっとひどいだろう」。このほかにも失業率の上昇、核の危機、災害復興などが日本経済の回復に影を落としている。

領土紛争などの問題で、日本と周辺国との関係は緊迫した状況に向かい、外交は苦しい立場にある。

新首相が生み出すものは、つかの間、党のグループのもめ事を改善する可能性と、日本の内政、外交の立て直しを助長する可能性である。しかし、連立政権になるにしろならないにしろ、党グループが権力争いのためにそれぞれが下心を持ち、それぞれがその利を図るという、日本の政治が根絶することができない頑固な病気はこれまで通り変わりないだろう。直面する内憂外患を前にして、新首相はどのくらい支持を得られるのか、どのくらいこの退勢を挽回させられるのか、本当に楽観視できない。