岩佐 正弘 日本ベルム株式会社取締役社長
大恩ある中国とは報恩の心でビジネスを!

経済成長著しい中国は今や「世界の工場」から「世界の市場」へと転換し、その間、数多くの日系企業が中国に進出し、事業を展開している。しかし、中国での事業推進においては、市場特有の様々な課題への対応が求められている。

―― どのような事業を展開されていますか。

岩佐 当社は高機能乳酸菌EF-2001を製造して一般食品や健康食品の原料として供給している会社です。

人に備わっている病気を治し、健康を維持する力「免疫力(自然治癒力)」の主役は白血球ですが、その栄養源と言われるBRM(Biological Response Modifier=免疫賦活物質)が多く含まれているのが乳酸菌EF-2001です。

21世紀は生活習慣病を撲滅する世紀です。免疫のバランスを考えた食生活の時代です。六大栄養素をバランスよく摂り、BRM食品を毎日タイミングよく摂ることで、免疫バランスを考慮した活性のある白血球を維持し、生活習慣病を予防できます。このことが21世紀の重要なテーマとなってきています。

 

―― 御社強みは何ですか。

岩佐 当社の乳酸菌は大手企業が扱っている菌とは違うものです。免疫力・白血球を最も強める乳酸球菌であるEnterococcus faecalis(エンテロコッカス・フェカリース)という菌を取り扱っています。中でも「EF-2001」は1グラム当たり7兆5000億個の菌を集めることができます。通常、同じ種類の菌だと3兆個からせいぜい5兆個です。乳酸菌は数が多い方が効果的です。1グラム中により多くの菌があることで、いろいろな食品に混ぜる応用が効きます。

 

―― 海外ではどのように評価されていますか。

岩佐 2013年末に中央アジア最大の食品展示会「FIアブダビ」で、「今年最も革新的だった食品BEST30」にノミネートされました。今年1月には、韓国政府から当社の技術が「高度技術認定」を受けました。食品分野では当社の乳酸菌が初めての認定です。今年の4月には、上海で開催される「FIチャイナ」に出展いたします。

 
韓国で研究所を開所した時の岩佐敏廣会長(左)と岩佐正弘社長。

―― 中国進出の考えはございますか。

岩佐 もちろんです。当社は創業20年ですが、国内市場にとどまらず、現在では海外、特に東南アジアを中心としてアジア全域に進出したいと考えています。韓国にはすでに子会社があり、本年中に自社工場も建設する予定です。その韓国の工場を中心にアジア全域に原料供給をしていきたいと考えています。実のところ最初に中国進出を考えました。しかし、当社の商品を輸出する上でどのような手続きをすれば良いのか、それが妥当なのかなど、なかなか進捗せず、今日に至りました。ここにきて打開策が見えてきましたので、頑張って中国に進出したいと考えています。

 

―― 日本企業が中国に進出する際の課題は何ですか。

岩佐 中国進出についてはさまざまな関係者から話を聞いたり、本も読むのですが、それらは参考にはなるのですが、納得できるものではありませんでした。実際に自分の眼で見て、やってみなければ何もわかりません。規模の大小にかかわらず、進出して成功した企業もあればそうでない企業もあります。ですから、先入観を持たないように心がけています。

 

―― 海外での社会貢献活動についてどのようにお考えですか。

岩佐 アフリカのガーナに小さな孤児院があるのですが、5年越しのプロジェクトとして、そこに幼稚園が開園します。ガーナでの支援は、会長の時代にお客様の紹介でガーナのサッカーチームを支援してほしいということがきっかけで始まりました。サッカーチームの地元の地方都市に行った時、その貧困状況に驚かされました。特に孤児の問題が深刻で、孤児院から相談を受ける中で今回のプロジェクトになりました。たとえ遠く離れた外国であっても、人と人との縁を大切にし、わずかでも社会貢献できることに感謝しています。

 
2013年末、中央アジア最大の食品展示会「FIアブダビ」で、「今年最も革新的だった食品BEST30」にノミネートされた時の様子

 

―― 中国進出に向けての抱負をお聞かせください。

岩佐 創業者である会長がよく話すのですが、「日本は間違いなく中国に恩がある。長い歴史の中で、文字を始めさまざまな文化を中国から学んだ。そのことを忘れて、先に経済成長し、技術が進んだからと言って、日本人の方が上だという姿勢では必ず失敗する。中国で仕事をさせていただくのであれば、恩返しをするという気持ちを絶対に忘れてはならない」という考えです。全くその通りだと思います。私もこの姿勢を貫く決意です。

 

―― 中国にどのような印象をお持ちですか。

岩佐 私自身、中国へのあこがれがあります。社会人になって、仕事をする上で有益だと考え、中国の古典を読むようになりました。六韜、三略や呂氏春秋、司馬遷の史記など、日本語訳を読み、原文も読みました。

中国にはこれまで上海や広州に行きました。今後は北京や重慶など内陸の方にも行ってみたいです。実は私の二人の子供は中学生の時、市の海外研修で北京に行っています。子どもたちに先を越されたので少し悔しいです(笑)。