留学経験者の婚活「妨げ」はどこに?

先日、北京市内の火鍋の店で、留学帰りの人たち30数人による集団見合いが開かれた。鍋をつつきながら、互いに自己紹介をし、ロマンチックでハッピーな出会いを求め、結婚相手を見つけたいという希望を抱く……これはこのところ流行の留学から帰国した人たちのお見合いブームの一幕だ。合コンのほか、テレビ番組、ネット、結婚相談所の「8分間」のデートなども彼らが相手を見つける手段となっている。

仕事と親のダブルプレッシャー

啓徳国際教育研究院が近頃発表したデータによると、20歳から30歳の8000人の留学帰りのグループのうち、58%が単身者であった。最近の留学帰りの人たちのお見合いの場を見てみると、28歳から35歳の人が多いことが分かる。彼らは、帰国後の仕事が上向きで忙しいため友達と付き合う時間が少なく、交際範囲も狭く仕事の同僚に限られていると、率直に認めている。

英国・バーミンガム大学で博士号を取得した王涵は35歳だが、まだ独身だ。母親は彼女に周囲の人たちに目を向けるように言うが、「私の回りには4人の独身男性がいますが、そのうち2人には彼女がいます。それに仕事が忙しくて、そんなことに気を配っている時間もありません。両親もとても焦っていて、本当に相手を見つけられなかったら外国人でもいい、と言っていました」。そう語る王涵の言葉には無力感が漂っていた。


ゲームの時間、女性に紙を渡す男性(撮影/張玉)

留学帰りの人たちの結婚問題について、家族にもそれぞれの考え方がある。李さんの息子はアメリカ留学から帰ったが、彼女のお嫁さんに対する基準について、「息子は長年外国で勉強してきたのだから、いい仕事をしていて家柄もつり合う彼女を見つけるべきです。まず、年齢は35歳以下、結婚出産年齢は親として私たちが考慮しなければならない点です。そして、外国人はダメですね。コミュニケーションが取れないので、ちょっと受け入れられない」と言う。

出会いが少ない

留学中のカルチャーギャップは、留学経験者にとっては確かに婚活のポイントとなっている。アメリカに留学していた姜林は、「アメリカに行ったのは本場の英語をマスターしたかったからです。だから、英語の練習のために現地の文化に触れるようにしました。友達の多くはアメリカ人ですが、結婚相手を見つけるとなると、自分と彼らとの間のカルチャーギャップを受け入れられないので、留学している間にはいい男性にはめぐり合えませんでした」と言う。

留学中の現地での交際範囲は狭いし、彼らはカルチャーギャップのせいで軽々しく国を超えた恋に走らず、帰国後まで待ってようやく相手を探し始めるのである。しかし、この時には彼らの年齢的なプレッシャーは増し、さらに新しい仕事も始めなければならない。帰国して2年になる段琪は、「仕事を始めてから、周囲には独身者はもうほとんどいないことに気づきました。自分も引っ込み思案だし、いつも友達の紹介という形で相手を探していますが、会った後はあまりピンとこない」と言う。「周囲の留学帰りの人たちもみな独身で、友人の紹介のほか、家族が手配した見合いという二つしか出会いがないんです」。

この問題に詳しい専門家は、留学帰りの独身者が相手を探すルートは少なく、仕事の関係か、友人の紹介しかないうえ、交際範囲が限られているということも、彼らの婚活の「障害物」となっているとしている。

「時期を見て」はダメ

最近発表された『2012年留学経験者就職力調査レポート』のデータ解析の現場で、啓徳教育グループ留学事業部の張楊総経理は「われわれの調査結果の中で、留学経験者中、女性の独身の割合が高くなっています。当社の留学経験者の優秀な女性たちもみな独身ですが、それはなぜでしょう。留学経験者についていうと、帰国後は同じような留学経験を持つ人と一緒に過ごす傾向があるため、選択の範囲が一層狭くなっています。さらに、女性の留学経験者が相手に求める条件は男性よりもさらに高く、そうなると彼女たちの選択の範囲はもっと狭まります。ですから、一番いいのは留学中に婚活を考えることで、学業と恋愛を両方ともしっかりやるべきだということを覚えおいてほしい」と言う。

しかし、お見合い番組『非誠無憂』の出演者の状況を見ると、留学経験者の相手に対する条件は他と比べて高いとは思えないと番組関係者は言っている。「留学経験者が相手に出す条件を見ると、それ以外の人と特に差はありません」。

燕園博思心理コンサルティングセンターの馬沢中主任は、「80年代生まれ」の留学経験者の独身女性が多い理由として、彼女たちは深刻な恋愛経験と思い出を持っており、新しい恋愛に対して不確実性を感じているからだとしている。また、男性の留学経験者は、心理学的に言うと主に心理的優越性が心の中にあり、生活でも上を目指し、恋愛に求めるものも明確であるため、うまくつきあうことが難しい。


北京市内の留学経験者グループが主催したお見合い食事会。
食事を楽しんだり、ゲームをしたりする中でさらに多くの人と知り合った。(撮影/張玉)

そこで馬沢中主任は、「留学から帰国した後は、戻ってきた環境を理解し、自分の心の中の期待値を調整して、愛する人、自分に合う人を探さなければならない。また、親たちも大きなプレッシャーをかけてはならない。もし彼らに余裕を与えなければ、彼らに心理的な逃避や抵抗が生じる。今、接している留学経験者たちで、こういった状況に陥っている者は3分の1に上っており、親たちは彼らが快適と感じる余裕を与えなければならない」と提案している。

そのほか馬沢中主任は、社会が健康的な屋外活動を組織することを希望している。「こういった活動では友達を作るという目的にしなくても、われわれのような心理学的なグループや、観光やその他のテーマ活動などを通して、交際範囲を広げることができます。留学経験者にとっては、気軽に参加でき、交際相手に巡り合えるチャンスが増えるのです」。

(文中の留学経験者は仮名)

【専門家の提案】

心之露(北京)心理コンサルティングの創始者、李忠軍氏の提案:

現在、留学帰りの人たちは起業、就職という大きなプレッシャーのもとで、仕事第一となり、結婚を軽視している。仕事と結婚との関係に対するこのような見方は正確でない。幸福な結婚は仕事に不利益をもたらすものではなく、逆に仕事をする上で大きな力となる。結婚生活の中で自分を改善できるし、健康的な結婚はさらに多くの良い影響をもたらす。同時に、社会、特に家族はさらに彼らを理解し、応援してほしい、彼らの選択を尊重してほしい。

《中華児女》のコラムニスト駱瀚氏の提案:

多くの留学帰りの人たちの相手選びの基準は高く、感情的な部分に多くのその他の条件が混ざっている。「80年代生まれ」の留学経験者は、一世代上の留学経験者に学んでもいい。彼らは純粋で、社会的な地位を重視していないが、感情は堅固であり、育て上げた後輩たちもまた優秀だ。留学経験という王冠を外し、留学という経歴は人生の修養の一部ととらえるべきで、どうしても身分がつり合う相手を探そうと考えないほうがよい、と言いたい。

婚活専門家の提案:

現在独身の留学経験者の出会いの場は少なく、通常の付き合いの範囲には限界があり、独身から脱出するルートは決まっている。実際には相手を探す場は多くなっており、結婚紹介所、ネットなどさまざまな場が出会いの形式となっている。信用できる第三者の力を信じるべきだ。