テスラ株価が再び復活、電気自動車の販売が低迷する中、FSDが中国で成功を収める

電気自動車業界の競争が激化、成長率が鈍化、販売価格は下落し、人員削減

中国乗用車協会によると、2024年の電気自動車(EV)およびプラグインハイブリッド車(PHEV)の出荷台数は25%増の1100万台に達する見込みである。しかし、2023年の36%と2022年(政府が電気自動車に国家補助金を提供した年)の96%の成長率と比べるとペースは落ちている。

2023年、テスラは2か月以上にわたって3回価格を調整した。10月には、Model 3とModel Yの価格を1.4万~3.7万元引き下げ、調整後のModel 3の価格は26万5900元、Model Yの価格は28万8900元となった。11月には、テスラは保険免除などの方法で事実上価格を8000元引き下げた。24年4月、テスラは過去最大規模となる全世界の従業員10%の人員削減を発表した。電気自動車業界の競争が激化した中で、テスラは非常に苦戦している。

2月の販売データが低調,テスラ株価は一時138.8ドルまで下落

4月2日、テスラは2024年第1四半期(1月~3月)の世界販売台数は38,681台で、前年同期比9%減少したと発表した。マイナス成長は15四半期ぶり。主要市場であるアメリカと中国での売り上げは低迷し、火災などによるドイツ工場の生産停止も売り上げに影響した。テスラの四半期ベースの世界売上高は、前年同期を下回り、-5%と初めてのマイナス成長となった。主要市場での売り上げは苦戦している。

テスラは23年11月に4年ぶりに新型電気自動車「サイバートラック」を発売したが、24年2月末時点での販売台数は1000台にとどまった。テスラがこの販売実績を公表した後、株価は2日の米国市場で一時6%以上下落し、最低値は138.8ドルとなった。

中国でFSDが実現、株価が奇跡的に復活

4月29日、テスラ株価は15.3%上昇した。イーロン・マスクCEOは4月末に予告なく中国を訪問した。その目的は、競争が激しい中国市場で低迷する販売をてこ入れし、同社の自動運転技術を導入するのが狙いである。マスク氏の中国訪問は1年以内に2回目となる。

中国の李強総理は28日、マスク氏と会談し、テスラを米中協力の「成功例」と称賛した。マスク氏の訪中は、運転支援システムFSD(フルセルフドライビング)を中国で導入し、そのデータを海外に転送することを中国政府に承認してもらうためである。ほぼすべてのテスラ車両には「オートパイロット」という運転支援システムが搭載されているが、より高機能なFSDは高価である。中国にも自動運転の機能が提供されているが、完全なFSDは提供されていない。これは中国のデータセキュリティ規制に準拠する必要があるためである。マスク氏の目標は、2日間の中国訪問中に達成された。

中国汽車工業集団は、テスラのModel 3とModel Yが国家のデータセキュリティ要件を満たしているという声明を発表した。

ブルームバーグの報道によると、テスラはFSDの立ち上げに先立ち、テスラは中国の百度と地図やナビゲーション機能に関してパートナーシップを築くことに同意した。

張 益偉 Choko Zhang

上智大学卒業し、金融工学専攻。特許金融分析師(CFA)と金融リスクマネージャー(FRM)の資格を保有しています。卒業後、方正証券の半導体セクターアナリストとして2年間の経験を積み、現在はFinlogixでストラテジストアナリストとして勤務しています。