労働節(メーデー)の大型連休、香港証券取引所が1日休場したなか、香港株は好調なスタートを切った。ハンセン指数は2取引日にそれぞれ2.5%、1.48%高となり、週ベースで4.67%高、ハンセンテック指数は週ベースで6.8%高となった。
香港株式市場の5月最初の2取引日の出来高はそれぞれ1160億香港ドル(約2兆2197億円)と1162億香港ドル(約2兆2223億円)に達し、香港株が絡んでいた時期に比べれば落ち込んだものの、例年のメーデー連休中の同時期の出来高を大きく上回った。
海外投資家が戻ってきたのか
ゴールドマン・サックス証券は、第1四半期のマクロ経済実績や第4四半期の上場企業の業績報告が予想を上回ったことが好感され、海外投資家の中国株に対するリスク選好が改善しているとした。
モルガン・スタンレーも同様に、一部のファンドの中国市場に対する弱気心理が和らぎ、世界のファンドが中国株に戻りつつあるとした。
ファンダメンタルズの角度から見ると、最近の香港株の上昇は、中国国内のファンダメンタルズがポジティブであるという外国人投資家の期待を暗に反映している。香港株式市場のファンダメンタルズと中国国内経済は密接にリンクしており、香港株式全体の収益の80%以上は中国株式によるものである。
第1四半期の国内GDP成長率は予想を上回り、PMI(中国製造業購買担当者景気指数)は好景気ゾーンに戻り、外国人投資家は2024年の中国のGDP成長率の予測を上方修正し、ハンセン指数EPS(1株当たり純利益)のコンセンサス予測は昨年末に比べ引き上げられた。
中国国内経済における不動産業の重要性を考慮すると、不動産市場における販売の鈍化と不動産会社の債務圧力の高まりは、中国国内市場に対する外国人の信頼を著しく低下させている。
歴史的に見ても、ハンセン指数の動きは中国国内の不動産周期と高い相関関係があり、2008~2009年、2012~2013年、2015~2016年、2017年の不動産の周期的上昇局面で香港株は上振れした。
業種加重の区分によると、ハンセン指数の三大業種は、金融(32%)、情報技術(30%)、非必需消費財(11%)で、プロシクリカリティ(景気循環増幅)業種の比重がかなり高い。
不動産予測の好転は、国内経済予測の信頼回復に重要な役割を果たしている。香港株の動向から見ると、国内不動産株や不動産と関連性の高い金融株は久々の相場を形成しており、同時に自動車などのプロシクリカリティ業種の株価も押し上げている。
今週は、ハンセン金融セクターが6.1%上昇し、全業界をリードし、不動産建設業界の上げ幅も6%に近づき、不動産業界の再生に対する市場の大きな期待を反映している。
市場解釈の道筋から見ると、不動産政策が相次いで打ち出されることは不動産市場の信頼回復に役立ち、ひいては消費者需要を押し上げ、経済を安定させる。
外資のポジションの分布から見ると、外国人投資家は香港株の情報、医療、消費などのニューエコノミーのポジションが比較的高い割合を占め、同時に金融、不動産の有力銘柄の保有比率も高めになっている。
また、流動性の面から、市場もFRBの利下げ予測を再評価している。そのほか、最近の急激な円の動きも市場の注目を集めている。今年4月中旬以降、日本の株式市場から海外資金が純流出し始めており、日本の株式に対する市場の見通しが弱まり始めていることを反映している。日本株が歴史的な高値を回復し、中国の内政改善も期待されるなか、香港株の費用対効果の高さが際立っており、外資の積極的な回帰は理解できる。
神月 陸見 Mathilda Shen
フィンロジックス株式会社の代表取締役社長。金融学と哲学の修士号を持っており、復旦大学証券研究所の講師、 Project Management Professional (PMP) 、上海華僑事業発展基金会のファンドマネージャー。
Email: mathilda.shen@finlogix.com
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