日中新時代(1)
中国EVメーカー、IT・AI化で圧倒=日本各社も提携で反転攻勢へ—世界最大の「北京自動車ショー」

世界最大規模の「北京国際自動車ショー」が4月25日から5月4日まで開催された。世界の自動車や部品メーカーなど約1500社が電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)などを展示。比亜迪(BYD)をはじめとする中国メーカーはEVに力を入れ、IT技術で際立っている。

中国では23年にEVの販売台数が前年比2割増え、668万台を超えた。国際エネルギー機関(IEA)の予測では、中国のEV(PHVも含む)市場は30年に新車全体の3分の2を占め、35年には85%に達する見通しだ。

スマホ大手の小米(シャオミ)は3月に発表した低価格EVを7万5723台予約販売したと発表。わずか3年で新車を販売し、米テスラ車を下回る価格でEVに参入した。

華為技術(ファーウェイ)は奇瑞汽車や中堅の賽力斯集団(セレス・グループ)と共同でEVブランドを展開、ファーウェイ独自のOSを搭載する。1~3月の中国市場の新エネルギー車の販売台数では、ファーウェイが協力する多目的スポーツ車「問界M7」が7万5000台となった。

世界最大のEV市場である中国で、中国メーカーのシェアが2020年の38%から23年に56%まで躍進した一方、日本メーカーは23%から14%まで縮小した。

日本車メーカー、

中国IT企業と提携

北京自動車ショーにトヨタ自動車やホンダ、日産自動車、マツダが出展。日産はEVやPHVで4車種の試作車を公表し、26年までに発売すると発表した。

中国メーカー各社は新車開発期間を従来の半分の2年程度に縮めて次々と投入。開発スピードで劣勢の日本勢は中国IT大手と提携する道を選択した。

トヨタは中国ITビジネス大手・騰訊控股(テンセント)とAIやクラウド、ビッグデータなど3分野で協力し、24年中に共同開発したサービスなどを搭載した車両を投入する。

日産自動車も中国ネット大手の百度(バイドゥ)のAI技術を、車室空間の設計やサービスなどに活用する。ホンダも車載ディスプレーでファーウェイと連携する。

日系自動車メーカーの在中国の幹部は「あらゆる方策を追求し生き残れる方法を探りたい」と語る。

中国の自動車メーカーは日本企業からエンジン車に関する技術を学ぶ形で合弁会社をつくり、中国市場に商品を投入してきた。だが、EVへの世界的な潮流の中で、このパターンが逆転した格好だ。

中国市場を重視する姿勢は欧米メーカーも同様。シュルツ独首相は4月にフォルクスワーゲンなど独自動車企業トップを引き連れて訪中した。

こうした中、米EV大手のテスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は4月末、中国の李強首相と会談。「中国で電気自動車の発展をみるのは良いこと。上海のテスラ工場は最も業績が良い」と指摘。「中国との協力関係の一層の深化」を求めた。李強首相は「中国におけるテスラの成功は米中の経済協力の成功例だ」と応じ、中国市場はこれまで通り外資企業に開放されると強調した。

世界の自動車市場でのEV化の流れは止まらない。巨大市場と技術革新を武器に中国自動車産業の快進撃は止まりそうもない。

1971年時事通信社入社。 ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。2010年RecordChina社長・主筆を経て相談役・主筆。欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英サッチャー首相、中国李鵬首相ら首脳と会見。著書に『中国危機―巨大化するチャイナリスクに備えよ』等。